「バイオメカニクス」やデータの活用で、スポーツの成績UP!
身体の動きが解明され、指導にも変化が
近年、生体力学や運動力学とも呼ばれる、「バイオメカニクス」の分野が注目を浴びています。手や足をどう動かせば、どんなことが起こるかが、たくさんのケースでわかるようになり、スポーツの分野でより的確な指導が可能になると期待されています。
例えば、水泳では、「水に浮くためにはリラックスして」というイメージだけの指導から、「手を上に挙げて」という具体的な助言に変えることで、パフォーマンスがアップするはずです。鉄棒やマット運動は、慣性モーメントなど力学の用語でより具体的に語ることができます。人の体の動きはすべてバイオメカニクスで解き明かすことができると言っても過言ではありません。
空振りを取れる投手のボールは回転数が多い!
野球では、バイオメカニクスの研究が特に進んでいます。今まで使われてきた「ボールに切れがある」「伸びがある」「軽い(重い)球」といった主観的な言語も、運動力学という目線では、回転数、回転軸、初速で説明することができます。野球のピッチングでは特に回転数が重要で、回転数が多ければ多いほど、ボールは変化し、空振りをたくさん取れるのです。最近では、球速に加え球の回転数を計測する機械が設置されるようになり、プロ野球の戦略の立案に使われています。
メジャーリーグでは、データ分析が不可欠
収集されたデータを積極的に活用しているのが、アメリカのメジャーリーグです。映画『マネーボール』でも話題になりましたが、「セイバーメトリクス」と呼ばれる統計学的な指標が、選手の評価や戦略の立案に使われています。また、統計学者のネイト・シルバーは、選手が将来どんな成績を残すかを予測できる「PECOTA」を開発し、その正確性が話題となっています。日本のプロ野球でもデータへの注目が高まっていて、トップレベルの選手になるほどデータを活用する傾向があります。
将来は、バイオメカニクスやデータの知識がないと活躍できないという時代が来るかもしれません。
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先生情報 / 大学情報
國學院大學 人間開発学部 健康体育学科 准教授 神事 努 先生
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