心理学と臨床心理士~心理テストとカウンセリング~
カウンセラーという職業と心理学
美容カウンセラー、結婚カウンセラーなど、「○○カウンセラー」と名前のつく仕事をしている人はたくさんいます。カウンセラーは、人の悩みを聴いて相談に乗るイメージが強く、心理学的な要素が強い職業のように思えます。しかし、「カウンセリング」という手法はもともと教育分野で適性指導、進路指導などを目的に生まれたもので、カウンセラーだからといって必ずしも心理学の専門家とは限りません。ただし、心理専門職をめざす場合は最低限、臨床心理士の資格が必要になることが多いといえます。
心理学的な支援とは?
人が抱えるさまざまな問題に対して、心理学的なアプローチをするのが臨床心理士です。例えば誰かが道端で倒れていたなら、命を助けるために病院で点滴をし、治療を行うのは医師の役目です。そして、その人が回復しても働けないなら、公共の福祉サービスを受けられるようにサポートするのはソーシャル・ワーカーの役目です。そして、その人が落ち込んで他人と接するのがうまくいかないのなら、ふるまいや思考に働きかけ、他人との関係性などの環境を改善させていくのが臨床心理士の役目です。つまり、臨床心理士は薬を使わずに、その人の考え方や行動をより適応的にする支援を行います。
患者さん自らの行動力で問題を解決
日本では何か精神的な症状が出ると、病院へ行って薬ですぐ治してもらおうとする風潮があります。もちろんそれも有効ですが、例えば妊娠中の女性のうつ状態や、災害や事件に遭遇してトラウマを抱えた子どもなど、薬をできるだけ使いたくないと希望される患者さんや家族もいます。
臨床心理士は、心理テストなどの手段を用いて、患者さんが自らの力で問題解決できることを目的とします。医療場面だけでなく、学校や企業など、今や社会の広い領域でその力が必要とされています。
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先生情報 / 大学情報
大阪大谷大学 人間社会学部 心理・福祉学科 教授 小西 宏幸 先生
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