充実した大学生活をサポートする臨床心理学の研究
幅広い分野に生かされている臨床心理学
記憶や学習、知覚など、心理学にはさまざまな切り口がありますが、心の不調に対するケアや、不調の予防を行う現場で活用される学問が「臨床心理学」です。実践的なカウンセリングに深く結び付いている学問で、医療の現場だけでなく、メンタルヘルスケアやストレスチェックが義務化された産業領域、心の発達段階にある子どもに接する教育現場、更生や被害者のケアに携わる司法の領域など、幅広い分野で役立てられています。民間資格である臨床心理士がよく知られていますが、2017年9月に国家試験である公認心理師法が施行されました。
大学生活の「QOL」の研究とサポート
臨床心理学の分野では、人間の生活の質を表す「QOL(クオリティオブライフ)」の研究と、その成果を用いたさまざまなサポートが行われています。社会人だけでなく、友人との付き合いや部活動を行いながら、就職や進学など、自分の将来設計にも向き合う大学生のQOLの向上も研究・サポートの対象です。アイデンティティを形成する大切な期間を生きる大学生にとって、自らの生活を充実させ、心を安定させることは将来設計にもつながる重要な問題です。
友人や恋人との適切な距離感に悩む大学生
スマホやSNSの普及など、大学生の対人関係のあり方も時代によって変化しています。多くの大学生が「相手の領域に入り込みすぎず、離れすぎることもない」適切な距離を他者との間に保つことに心理的な葛藤を抱いています。こうした関係性は、浅く表面的な関係ととらえることもできますが、たくさんの人と交流することが多い大学生にとっては、大学生活のQOLを保つためとも言えます。
また、潜在的に抱えていた心の問題が、恋愛や親友との付き合いなど、人と親密に関係することで表面化することもあります。大学時代の人間関係をめぐる心理的葛藤の経験は、将来より良く生きるために重要であるだけに、臨床心理学による大学生へのサポートは欠かせないのです。
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