高齢者の社会参加を支援する
コロナが高齢者の介護予防の在り方を変えた
高齢になってからも心身の機能と生活の質を維持するためには、外に出て社会と関わりを持つことが大切だということがわかっています。地域の介護予防事業でも、高齢者の外出を促すような取り組みが行われてきました。しかし、新型コロナウィルスの蔓延(まんえん)により、外出を控えなければならない社会状況になりました。高齢者の健康のために社会参加を働きかけていましたが、コロナウィルスの感染予防のために外出を控えるように働きかけるという全く逆の状況になりました。
パソコンを使って脳のトレーニング
全国展開している高齢者向けパソコン教室の協力を得て、受講者にパソコンを使って認知機能を高めるトレーニングを行ってもらい、その効果を検証しています。また、それぞれのパソコン教室の地域特性(都心、郊外、公共交通機関の有無など)が高齢者の健康に関連している可能性もあると思います。そこでは、定期的に参加者に認知機能のテストを受けてもらい、パソコンの操作を学ぶ一環として間違い探しや計算問題などのトレーニングを行うことにより、認知機能がどのように改善するかを調べます。また、交通手段が参加状況に与える影響、参加者同士の交流なども調査します。
ITを駆使したウィズ・コロナ時代の取り組み
トレーニングの中に、参加者の生活を振り返って記録するような課題も設けられています。自分自身の生活を「思い出す」こと自体が脳の訓練になることと、情報の蓄積により、その人に合った生活習慣のアドバイスなどができるというメリットがあります。また、オンラインでほかの人と一緒に体を動かすアクティビティに参加してもらうなどの取り組みも有効だと考えられています。こうした研究結果は、自治体の介護予防事業や、病院、介護現場などの臨床で利用できるアクティビティやプログラムの開発に役立つと期待されています。
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先生情報 / 大学情報
群馬大学 医学部 保健学科 准教授 田中 浩二 先生
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