特別支援教育のホントウのところ
「特別」ではなくナチュラル・サポート
発達障がいなどが広く社会に認知されてきた影響もあり、大学で教職をめざす人の中には、特別支援教育に関心のある人が増えています。特別支援教育とは、障がいがある一部の子どもたちを対象にした特別な教育と思われがちですが、実際はそうではありません。特に発達障がいのある子どもについては、特別支援学校に通うよりも、小中学校の通常の学級で学んでいたり、通常の学級に在籍しながら、数時間だけ個別的な支援を受ける通級による指導を受けている子どもが多いのです。ですから、教育の現場すべてが“特別支援教育の場”と言っても決して言い過ぎではありません。
そして、特別支援教育の中心テーマは、「わかる授業」です。その意味で、すべての子ども、すべての人に共通する“ナチュラル・サポート”という側面があります。例えば、先生が自閉症の子どもに対して、授業のはじめに「今日はこれとこれを勉強します」と黒板に予定を書いたとします。そして、それはほかの子どもにとっても今から何を学ぶのかわかりやすく役立つ情報なのです。
あったかハートとクールな判断力が大切
特別支援教育に携わるには、幼稚園、あるいは小中学校、高等学校の教諭免許に加えて特別支援学校教諭の免許を取得する必要があります。そのためには、さまざまな専門知識や技術を学びますが、その前に、ぜひ身につけておきたいのが、感性の豊かさと向上心です。きれいなものを見て素直に感動できなければ、子どものちょっとした表情の変化にも反応できないし、小さな成長もともに喜べません。そして、障がいがある子どもたちの日々の成長など一人ひとりをしっかり見て、ニーズに応じた支援ができるよう、いつも「向上心」をもって取り組むことです。特別支援教育の現場では、子どもを大きな心で受け入れられる<ウォーム・ハート(あたたかい心)>と、子どものパニック症状や発作などにもあわてずに対応できる<クール・ヘッド(冷静な判断力)>の両方をもち合わせた先生が求められているのです。
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