「なぜ、数学を学ぶのか?」 その問いにすぐれた教材で答える
数学をうまく「料理」する?
「なぜ、算数や数学を勉強するのか?」という質問に、「将来役立つ」「頭がよくなる」といった答えをよく耳にします。もちろんこれも真理と言えるでしょう。しかしこう言われても生徒はすぐには納得できません。例えばトマトが嫌いという子どもに「トマトは、リコピンという栄養素があって体にいいから食べなさい」と言っても効果はないでしょう。それよりも工夫をして、トマトをおいしく料理する方が効果的です。教師は算数や数学をうまく料理する、つまりよい教材を作ることが必要です。教育学部では、教師を育てるだけではなく、よい教材を作る研究も行われています。
数学のおもしろさに気づかせる
数学教育に「応用志向」と「構造志向」という考え方があります。応用志向とは、数学の内容を現実に応用することを主目的とする考え方です。また、構造志向とは、逆に現実の問題を解決するなかで、数学の構造を抜き出し、発展させる考え方です。ともすれば、最近は、難しい数学の考え方より、実生活ですぐに役立つ応用志向を大事にしようという傾向があるかもしれません。しかし数学の良さ、おもしろさはその応用にだけあるのではありません。その理論を自分で発見、導いていくところに面白さがあるのです。例えば、折り鶴は正方形の紙で折るのが一般的ですが、実はひし形の紙でもきれいに折れます。では、ほかにどんな形の紙から折ることができるでしょうか。ここでの面白さは、折り鶴を理論化してそこから、自分で新しい結論を導き出せるところです。折り上がった鶴を見せていきなりそれを教えるよりも、どういう条件のときに完成するか、ということを生徒と一緒に見つける方が数学への興味につながります。
自分から進んで学べるように
文部科学省が定める学習指導要領では「数学的活動」が重要視されています。今、重要なのは、教科書に沿って、知識を効率的に伝達することだけではなく、生徒が自分で興味を持ち、自ら学ぶきっかけとなるような教育方法と教材が今後ますます求められています。
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