学びの貯金をどのように使いますか?
教育基本法に生涯学習!?
2006年に教育基本法が改正されました。重要な改正点は、生涯学習の考え方が教育の基本に位置づけられたことです。本法第3条で生涯学習の理念は、「国民一人ひとりが、自己の人格を磨き、豊かな人生を送ることができるよう、その生涯にわたって、あらゆる機会に、あらゆる場所において学習することができ、その成果を適切に生かすことのできる社会の実現が図られなければならない」と掲げられています。つまり、生涯学習とは、誰でも、いつでも、どこでも学ぶことができ、学んだ成果をよりよい社会につなげていくための仕組みでありエンジンであるという考え方です。
生涯学習の考え方で教育の仕組みはどう変わる?
人生100年時代の今、20歳までの限られた期間に必要な知識をすべて詰め込む必要はありません。教育の仕組みは、人生初期の学校教育だけで終わることなく、学びたいときにいつでも学ぶことができる仕組みに変わっていきます。これは「リカレントモデル」と呼ばれ、むしろ学校は基礎基本とその後の人生を自分らしく生きていく自己学習力やキャリア創造力を身につけることが重要になります。
生涯学習で持続可能な社会を創る
日本は少子高齢化をともなう人口減少社会の最中であり、さまざまな社会問題が浮上してきていて、社会の持続可能性が危ぶまれています。一人暮らしの高齢者の増加、空き家の増加、過疎化の急速な進展、労働力人口の減少などにより、孤立化の問題、安全面の問題、景観の問題、伝統や文化の断絶の問題、産業衰退の問題など本当にさまざまな問題が出てきています。さらに、これらにグローバル化やIT化の進展が絡み、問題は複雑化してきています。こうした諸問題に対し、私たちは今こそ人類の叡智を結集させ、一人ひとりが知恵を出し合い、解決に向けて行動をしていく必要があります。
生涯学習の考え方は、学んだ成果を社会へ循環させていくこと、すなわち、一人ひとりが多様な知恵を出し合い、持続可能な社会を自らかつ協働で創っていくことを推奨しています。
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先生情報 / 大学情報
広島修道大学 人文学部 教育学科 教授 山川 肖美 先生
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