観察やオノマトペの研究で、幼児教育のプロを育てる

観察やオノマトペの研究で、幼児教育のプロを育てる

子ども本来の力を引き出す幼児教育

「発達」は、英語で書くと「Development」で、これには「包みを開く」という語源があるそうです。いまの幼児教育は、子どもに教えるというより「子どもが本来持っている力を引き出す」ことに重点が置かれています。まさに「Development」です。どう環境を整え、どんな刺激を与えれば、子どもの力は引き出されるのか、幼児教育学では、それを学問としてはもちろん、幼稚園などでの実習を通して学びます。幼稚園教諭や保育士など、幼児教育をめざす人の基礎部分といえます。

子どもを観察し、成長をサポートする

子どもの発達過程では、「人と関わること」が大きな要素になります。発達心理学では、子どもがお母さんのおなかの中にいる段階から、人と関わる力の芽生えと育ち、それを育む環境のあり方を研究しています。
幼い子どもが人と関わる力を身につけていくためには、適切な環境と指導が必要です。例えば、グループの輪に入れない子どもは「一緒に遊びたい」という表現が上手にできないのかもしれません。そんな時は、輪に入れるきっかけをつくるなど、さりげなく人と関わる力の成長をサポートするのが、保育のプロの役割です。それには実習などで、子ども一人ひとりの表情や態度を観察し、洞察力を磨くことが大切です。

オノマトペを通して子どもを理解する

「オノマトペ」というのは、「ドンドン」や「クルクル」といった擬声語・擬態語のことです。感情や状態を感覚的に表現でき、子どもが自己表現しやすく、理解もしやすいという特長から、幼児教育の世界で注目を集めています。例えば、ただ「跳んで!」と言うよりも、「ぴょんと跳んで!」と言ったほうが、子どもはウサギをイメージして元気に跳びはねてくれます。
また、子どものオノマトペは実に多彩です。例えば、雨の表現は大人なら「ザーザー」くらいですが、子どもは「ピリピリ」「シャーシャー」と、さまざまな表現をします。その微妙な違いが、子どもの発達や心理を理解するキーワードになることもあるのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

椙山女学園大学 教育学部 子ども発達学科 教授 石橋 尚子 先生

椙山女学園大学 教育学部 子ども発達学科 教授 石橋 尚子 先生

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教育学、発達心理学、幼児教育学

メッセージ

私は発達心理学の立場から、子どもの「人と関わる力」の発達や、オノマトペを通した子どもの理解を研究しています。附属幼稚園での実習は、子どもに実際に接する実践の学びです。人と関わる力が芽生え、育ち始めた子どもが、「心の中で何を考えているか」また「どんなサポートを差し伸べるべきか」、そんな観察眼と対応力を養うことができます。子ども界は不思議に満ち溢れています。その不思議を一緒に楽しんでみませんか? 子どもがスクスク成長する姿を見守るのは、本当に楽しいものです。別の人生をそばで見続ける喜びがあります。

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「わたしは、強く優しい、輝く先生になる。」
変化する教育現場、多様化する子どもたちに、強くやさしく、輝く先生を。

子ども発達学科では、長期的な視野と多様な視点で子どもたちを見守る教育者・保育者の養成を目指し、保育と幼児教育、幼児教育と小・中・高等学校教育の垣根を越えた複数の資格・免許を取得できる環境を用意。徹底した少人数教育と個別指導、椙山女学園の総合力を生かした多彩な実習プログラムにより、優れた指導力と豊かな人間性を育みます。