チームスポーツを見る・楽しむ・強くなるために数学と情報を生かす
ラグビーワールドカップ熱狂の背後にあるもの
ラグビーワールドカップ2019日本大会が盛り上がった理由の1つに、放送時に初心者にもわかりやすく伝えるための「付加情報」の提示の試みがあります。ボールやエリアの支配率、スクラムを組んだときの総体重比較などを表示したのです。また、解説テロップをつけることでルールやプレー展開の理解を助け、新しいファンの獲得に貢献しました。このような試みはほかのスポーツでも当たり前のものになりつつあります。そして、それらを計算するのに、コンピュータや数学が駆使されています。今後は試合をどこからでも見られるようにする自由視点映像技術や、VR(仮想現実)などのxR技術などとも組み合わさって、スポーツの観戦の仕方はますます変わっていくでしょう。
新しい付加情報を生み出す試み
現在、数学や情報技術を使って、新しい付加情報を生み出す研究が進んできています。試合データが特に豊富なのがサッカーです。次にどの選手にパスを出すと得点の可能性が高いかなどを、AI技術を使って予測する方法の研究がされています。また、バスケットボールでは数万本のパスのシミュレーションからパスの通りやすい味方選手を予測する方法や、ラグビーでは最適化技術も使って最も良い攻撃パターンを計算する方法の研究も進んでいます。このような技術を用いて、お手本となるプレーを見える化することは学生やアマチュアのアスリートにも役立ちます。
付加情報で注目されにくい選手やプレーにも光を
付加情報を生み出す技術は選手の評価にも活用できます。例えばディフェンスの選手は、良いポジションでパスを防いでも評価されにくいものです。相手からの潜在的攻撃に対する防御への貢献を数値化できれば、シーズンを通じた選手の貢献度がわかるようになります。また、プレーのすごさを伝えるのにも利用できます。その場面で平均的な選手に可能なプレーを計算して比較することで、その選手の身体能力やテクニックならではのプレーにもクローズアップできるようになるのです。
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明治大学 総合数理学部 ネットワークデザイン学科 准教授 中田 洋平 先生
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