納豆由来の力で肌をいつまでも美しく健やかに

納豆由来の力で肌をいつまでも美しく健やかに

納豆のネバネバが秘める意外な性能

納豆のネバネバ成分には、「γ(ガンマ)‐ポリグルタミン酸」という物質が含まれています。これは分子量が500万ぐらいもある高分子の物質です。高分子特有の性質である、微生物で分解可能な「生分解性」や体内に入ったときに異物として認識されないような「生体適合性」に加え、保湿性や増粘性、ミネラルの吸収を促進する作用なども兼ね備えています。

体によいγ‐ポリグルタミン酸

γ‐ポリグルタミン酸は、納豆菌などを用いて製造されますが、健康補助食品や食品添加物、医薬品、工業用として塗料の添加剤や水の浄化剤、農業用として土壌改良剤など、さまざまなものへの応用が期待されています。また近年の研究により、γ‐ポリグルタミン酸には免疫を強化したり、アトピー性皮膚炎を抑える作用もあるのでは、と期待されています。
そして、このγ‐ポリグルタミン酸を化粧品に応用する研究も進められています。目的は、「アンチエイジング」です。

高分子を低分子にすると何が起こるか

アンチエイジングのポイントとなる物質の一つに「ヒアルロン酸」があります。年をとると肌内部のヒアルロン酸量が減り、肌のハリやツヤが失われます。従来はヒアルロン酸を肌に補うような化粧品が主流でしたが、最近ではヒアルロン酸を肌から減らさないような効果を持つ化粧品の開発が進んでいます。
そのカギを握るのが、γ‐ポリグルタミン酸なのです。高分子のγ‐ポリグルタミン酸を分子量1000以下の低分子に分解します。すると皮膚内部に入りやすくなり、ヒアルロン酸を分解してしまう酵素の働きを抑えるのです。分解が抑制されるのでヒアルロン酸の減少が抑えられ、肌のハリやツヤなどを保つことができるというわけです。
また、遺伝子レベルの研究では、肌内部の保湿性を高める成分(天然保湿因子)を増加させる可能性も指摘されています。納豆のネバネバ成分には、肌の老化を防ぐ画期的な化粧品につながる可能性があるのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

大阪大学 工学部 応用自然科学科 応用化学科目 教授 宇山 浩 先生

大阪大学 工学部 応用自然科学科 応用化学科目 教授 宇山 浩 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

高分子化学、発酵工学、応用化学

先生が目指すSDGs

メッセージ

私は、バイオ系のポリマー(重合によって生じた化合物)に関する研究をしています。バイオ系のポリマーは、石油を使わない新しいプラスチックや生分解性プラスチック(微生物により分解されるプラスチック)など、環境にやさしい樹脂を作るのに適しています。未来の地球環境を守るために、このような材料の開発研究が進んでいるのです。またバイオ系の素材は、化粧品や食品の原材料としても注目されています。あなたもこのような研究に興味があるなら、大学はぜひ化学の知識を生かした分野に進んでほしいと思います。

先生への質問

  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

大阪大学に関心を持ったあなたは

自由な学風と進取の精神が伝統である大阪大学は、学術研究でも生命科学をはじめ各分野で多くの研究者が世界を舞台に活躍、阪大の名を高めています。その理由は、モットーである「地域に生き世界に伸びる」を忠実に実践してきたからです。阪大の特色は、この理念に全てが集約されています。また、大阪大学は、常に発展し続ける大学です。新たな試みに果敢に挑戦し、異質なものを迎え入れ、脱皮を繰り返すみずみずしい息吹がキャンパスに満ち溢れています。