原子の中には芯がある! 量子力学の世界への扉
20世紀の大発見~ラザフォードが見つけたもの~
イギリスで活躍した物理学者アーネスト・ラザフォードは、原子の中に「芯」のようなものがあることを発見しました。金箔を用いて金の原子にアルファー線をぶつける実験をしたところ、ほとんどのアルファー線が金箔をすり抜けていく中、いくつか跳ね返るアルファー線があったのです。もし原子がのっぺりとした均一なものならばアルファー線はすべてすり抜けてしまったはずです。しかし、跳ね返るということは「跳ね返す何か」がそこにあるということです。つまり、原子にはアルファー線を跳ね返す「芯」があるという発見でした。この「芯」が「原子核」と呼ばれることとなったのです。
不思議な量子力学の世界
このような、原子核とそのまわりの電子からなる原子というものは、当時の物理学の理論で説明することができません。そこで、物理法則は原子レベルでは日常経験する力学(古典力学)とは違うルールに従うと考えられはじめ、それが「量子力学」という新しい法則として確立しました。量子力学でなければ、原子が安定に存在することも説明できないのです。もっと日常的なことがらも量子力学の世界とつながっています。例えば光が波と粒子の両方の性質を持っていることを、量子力学は教えてくれます。あなたが見ている星の光も、もし光が波の性質しか持たなければ、弱すぎて人間の網膜を刺激することはできません。光が粒子としての性質を持っているからこそ、人間は遠くの星を見ることができるのです。
物理の世界は「推理+実験」の繰り返し
物理学の世界は「どうなっているのか?」という疑問の答えを考え、実験でその考えが正しいかを確かめるという行為の繰り返しです。理論と違う結果が出たときは、新しいパズルが与えられたということで、物理学者は夢中になります。ラザフォードの理論から100年経ちましたが、自然界にはまだ解明されていない謎が多く残っています。あなたにも世紀の大発見をするチャンスが与えられているのです。
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先生情報 / 大学情報
九州大学 基幹教育院 教授 原田 恒司 先生
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