どうすればゲリラ豪雨を予測できるのか

どうすればゲリラ豪雨を予測できるのか

ゲリラ豪雨を予測する

最近はゲリラ豪雨の発生が多発し、被害が出ることもあります。ゲリラ豪雨は非常に狭い地域で起こる気象現象なので少しの時間をやり過ごせば雨に合うことなく行動することができます。そのためには、ゲリラ豪雨が発生する場所や時間を正確に予測することが必要です。
国土交通省ではXバンドレーダーを使ってゲリラ豪雨の予測を行っています。現在では都市域を中心に設置されています。しかしそれは大型の装置で、費用的にも高価なものです。

上空の雨粒をとらえる

そこでレーダーを使った小型の装置の研究が進んでいます。高額な費用を負担するのが難しい地方自治体や発展途上国からも注目されています。このレーダー装置の実現には、まず雨粒と電波の関係を研究する必要がありました。
ビデオゾンデと呼ばれる、ビデオカメラと気球を組み合わせた装置によって上空の雨粒やさらに上空にある氷の粒を測定する研究が続けられました。上空の雨粒の様子をビデオカメラで撮影して、地上に送信します。この実際の雨粒とレーダーで測った電波とを比較します。このふたつを理論式によって計算するとほぼ一致します。そのためレーダーでとらえられた電波によって、上空の雨粒や氷粒の様子を知ることができます。この雨粒や氷粒が20~30分後に地上に落ちてくるので、何時にどこにどのくらいの雨が降るかを予測することができるのです。

雷の発生も予測する

また雷の発生を予測するための基礎研究も進んでいます。雷の稲妻は、光が折れ曲がった部分から電波を発しています。雷が発する電波を雷探知装置で受け取って雷の位置を特定して、それと雨雲の位置とを重ね合わせると、雨と同じようにどの地域にどの規模の雷が落ちるかを予測することができると考えられています。
従来のXバンドレーダーは大型なので5分に1回ぐらいしか情報更新できないのに対し、小型レーダー装置は1分に1回更新できるので、よりリアルタイムの情報を得られ、きめ細かい気象予測ができると期待されているのです。

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神戸大学 工学部 市民工学科 教授 大石 哲 先生

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水工学

メッセージ

市民工学科では、ダム・橋・港といった従来型の公共施設の建設に関する研究のほか、ビッグデータを利用した人の流れの研究、経済学を応用した都市施設整備計画の研究、そして豪雨の予測にもとづいて災害から市民を守る研究などを行っています。
私たちの豪雨の予測の研究では、風船を使って上空の氷を観測したり、コンピュータを使って氷の解析をしたりといった、さまざまなアプローチによる研究を行っています。海と山、そして大都市が接近した神戸ならではのキャンパスで、一緒に学べることを期待しています。

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