定期的な歯科検診が、口の病気を未然に防ぐ
口腔内の二大疾患、虫歯と歯周病
口の中で起こる病気のうち、二大疾患とされているのは、虫歯と歯周病です。これらの疾患は、悪化すると歯を失うだけではありません。虫歯菌が歯以外に感染することで、顎の変形や、心臓や脳など体のほかの部分に重篤な疾病を引き起こす可能性があります。また、歯を失うことでそしゃくに支障が出ると、栄養の偏りから生活習慣病や、脳への刺激不足から認知症になることもあり得ます。これらの事態を避けるためにも、実際に痛みや異常を感じてから治療に行くのではなく、何も症状がなくても日頃から定期的に歯科検診を受けることで、虫歯や歯周病の発症を早期に防ぐことができます。
定期的な歯科検診のさまざまなメリット
高校生くらいまでは、家庭の方針や学校で検診を受けている人が多いものの、その後は検査を受ける習慣が途絶えがちです。定期的に歯科検診を受けることは、虫歯や歯周病の早期発見のほかに、口腔内の腫瘍や斑点をチェックすることで、口腔がんの兆候についても確認するという大切な役割もあります。また、歯石の除去やホワイトニングによって、歯の見た目を美しく保つこともできるメリットもあります。若年層の場合、人によっては噛み合わせの矯正に取り組み、より美しい歯列へと改善していくことも可能になります。
虫歯や歯周病のなりやすさも検査でわかる
最近では、口腔内の菌や唾液を分析することで、どのくらい虫歯や歯周病になりやすいのか、ある程度わかるようになってきました。こうした検査は現時点ではまだ保険の適用外なのが課題です。しかし、その人の口の中の性質がわかれば、その後の検査や治療の対策も格段に立てやすくなるため、より効果的に歯の健康を維持していけるようになります。
「歯科検診は、口の中を気持ちよくしてもらうために行くもの。歯が痛くなくても行くのが当たり前」という認識が、社会でより広まっていくような取り組みが求められています。
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先生情報 / 大学情報
埼玉県立大学 保健医療福祉学部 健康開発学科 口腔保健科学専攻 准教授 秋山 恭子 先生
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