ガラスに結晶を析出させると、新しい機能性材料ができる
ガラスに結晶を析出させ、特殊な機能を持たせる
ガラスは結晶構造を持っていませんが、高い温度で溶かしその温度をしばらく保持すると結晶が析出します。このようなガラスを「結晶化ガラス」と言います。どのような結晶が析出するかは、ガラスの成分や温度によって決まりますが、その中には特殊な機能を持つものがあります。例えば、ある波長の光をガラスに当てると通常は吸収されるか散乱するかのどちらかですが、特殊な結晶化ガラスに当てると元の波長の半分の波長になって出てくることがあります。
非線形光学に役立つ透明な結晶化ガラスを開発
このような光と物質の間に起こる現象を扱う学問を「非線形光学」と言います。非線形とは電磁場に比例しないという意味です。これはレーザーなど光を使ったさまざまな応用分野に関係しています。そのため、光に関係する性質を持つ結晶化ガラスを作ることは、大きな可能性を秘めているのです。ただ問題なのは、ガラスに結晶を析出させると結晶間に界面ができるため、透明ではないガラスができてしまいます。透明ではないと光がまっすぐに透過してくれないので、その効果を検証することができません。そこで、透明な結晶化ガラスを作ることが重要になってきます。
より安価で、簡単なプロセスで材料を作る
透明にするには、析出する結晶の粒を小さくしたり、結晶の向きを揃えたりという工夫が必要になります。それが可能な材料を求め、いろいろと試してみることも重要です。もちろん、透明だけならば水晶のような1つの大きな結晶を作ることも可能です。すでにこのような材料は工業化されていますが、製造に時間やコストがかかったりすることがあります。そこでもっと安く簡単なプロセスで、同じ機能を持つ材料を作ることができれば、工業の分野で大きな意味を持ちます。ガラスからは、このように成分や工夫によって、特殊な機能を持つ新しい材料を作ることができるのです。
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