洗濯機は生活を豊かにするロボット? ~メカトロニクスで人を幸せに
メカトロニクスで生活を豊かに
洗濯機がどのような仕組みで動いているかを考えたことはありますか? まず、洗濯機の内部で洗濯物の布質を判別します。その後センサで重さを量り、水と洗剤の適切な量を割り出します。すすぎをする時は光センサで水の透明度を測り、必要な回数を判別します。このようにメカニクス(機械工学)とエレクトロニクス(電子工学)が融合した「メカトロニクス」を利用したロボットは、生活のあらゆる場面で役立っています。
トイレが終わったことを知らせるシステム
例えば介護の現場では、要介護者がトイレに行っている間、近くで介護者が見守っていなければならないこともあります。要介護者が立ち上がる際に転倒する事故を防ぐためです。このような現状に対し、メカトロニクスを利用したシステムでサポートできます。
システムは、身の回りにあるものを利用すれば簡単に作ることができます。まず、トイレットペーパーのホルダーに加速度センサを取り付けます。そしてトイレットペーパーが回転すると、要介護者に対しては「立たないで」という音声が流れ、同時に介護者のスマートフォンに「トイレが終わりました」というメッセージが届く仕組みです。
作物にも人間にも優しいロボット
農業もメカトロニクスで状況を改善できるかもしれません。日本の農業人口は減少しており、高齢者の割合が高くなっています。ビニールハウスの中では、大量の農薬を人力で散布していると、健康被害が起こる可能性があります。農薬には展着剤が含まれているため、人が吸い込んで肺にくっついてしまうことがあるのです。そこで、誰でも購入しやすい値段の農薬散布ロボットが開発されました。さらに画像解析で植物の葉などを認識させ、必要な部分にだけ農薬をまけるよう改良がなされています。葉がないところを素通りすれば時間短縮につながり、無駄な散布も防げます。開発された農薬散布ロボットを使って、農薬の適切な量を調べるための実験も行われています。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
帝京大学 理工学部 情報電子工学科 教授 蓮田 裕一 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
情報電子工学、ロボット工学先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?