ソーシャルメディアのネットワークを可視化し情報拡散を分析

ソーシャルメディアのネットワークを可視化し情報拡散を分析

ネットワークの構造を俯瞰するには

ソーシャルメディアに投稿したあなたのメッセージや画像は、どうやってフォロワーに広がっていくのでしょうか。1ユーザーとしての視点からは直接的なつながりしか見えないので、なぜ知らない人があなたの投稿に「いいね」を押したのかを知るのは困難です。そこで、ネットワークの外からその全体像を俯瞰(ふかん)できるように、ネットワークを可視化する研究が行われています。ネットワークの可視化は、ネットワークの構造を理解する一つの手段として有望です。誰と誰がどうつながっているのかが明らかになり、情報拡散がどのように起こるのかということの解明にもつながります。

ネットワークを可視化し情報拡散のモデルを作る

具体的には、個々のユーザーを点(ノード)、ネットワークのつながりを線(エッジ)で表し、直接つながっているフォロワーは近くに、間接的につながっているフォロワーは遠くにというように配置して、可視化を図ります。ただ、大規模なネットワークはデータの量も膨大で複雑です。いかにわかりやすく可視化できているか、誤差が最も小さくなっているかを、関数を使って評価し、最適な可視化モデルを探索します。ネットワークの可視化ができれば、今度はそのネットワーク上を情報がどのように伝わるのかを、人工知能(AI)技術を使って分析し、実際の情報拡散のデータから、より正確な予測モデルを作ります。

ソーシャルメディアは人間社会を映す鏡

ソーシャルメディアの本質は情報の送受信です。可視化により情報拡散の仕組みを解明することは、ソーシャルメディアの理解へとつながります。そのようなサイエンティフィックな目的のほかにも、情報拡散の分析は、口コミなどを利用したマーケティング戦略(バイラルマーケティング)にも利用できると期待されます。ソーシャルメディアは人間社会を映す鏡です。ソーシャルメディアについての適切なモデルを構築できれば、人間社会を理解するうえで、重要なヒントになるでしょう。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

神奈川大学 情報学部 計算機科学科 教授 斉藤 和巳 先生

神奈川大学 情報学部 計算機科学科 教授 斉藤 和巳 先生

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知能情報学、ウェブ情報学

先生が目指すSDGs

メッセージ

私が研究している情報学の分野では、確率や微分積分、ベクトル、行列などの数学が必要です。もしあなたが数学嫌いであれば、いやだなあと思うかもしれません。しかし、高校での「勉強のための数学」と違って、情報学の数学は自分がやりたいことを理解するための手段ですから、さほど苦にはならないと思います。
また、人工知能(AI)やコンピュータの進歩は目覚ましいですが、基本となる技術はびっくりするほど変わりません。表面的な変化に惑わされず、根幹的な技術や考え方を学んでほしいです。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

神奈川大学に関心を持ったあなたは

1928年創立以来、真の実学をめざし、自ら成長できる人材を育成してきました。近年では2021年、グローバル系3学部が集うみなとみらいキャンパスが誕生。2022年、「建築学部」を開設、2023年には理工学部を改組し「化学生命、情報学部」を開設。文理11学部すべてを横浜エリアに集結させ、世界レベルをめざす総合大学として、新たな一歩を踏み出しました。
また返還不要な奨学金制度も充実。12月下旬に全国22会場で実施の給費生試験で合格、入学すると、4年間で最大880万円の奨学金が給付されます。