ソーシャルメディアのネットワークを可視化し情報拡散を分析
ネットワークの構造を俯瞰するには
ソーシャルメディアに投稿したあなたのメッセージや画像は、どうやってフォロワーに広がっていくのでしょうか。1ユーザーとしての視点からは直接的なつながりしか見えないので、なぜ知らない人があなたの投稿に「いいね」を押したのかを知るのは困難です。そこで、ネットワークの外からその全体像を俯瞰(ふかん)できるように、ネットワークを可視化する研究が行われています。ネットワークの可視化は、ネットワークの構造を理解する一つの手段として有望です。誰と誰がどうつながっているのかが明らかになり、情報拡散がどのように起こるのかということの解明にもつながります。
ネットワークを可視化し情報拡散のモデルを作る
具体的には、個々のユーザーを点(ノード)、ネットワークのつながりを線(エッジ)で表し、直接つながっているフォロワーは近くに、間接的につながっているフォロワーは遠くにというように配置して、可視化を図ります。ただ、大規模なネットワークはデータの量も膨大で複雑です。いかにわかりやすく可視化できているか、誤差が最も小さくなっているかを、関数を使って評価し、最適な可視化モデルを探索します。ネットワークの可視化ができれば、今度はそのネットワーク上を情報がどのように伝わるのかを、人工知能(AI)技術を使って分析し、実際の情報拡散のデータから、より正確な予測モデルを作ります。
ソーシャルメディアは人間社会を映す鏡
ソーシャルメディアの本質は情報の送受信です。可視化により情報拡散の仕組みを解明することは、ソーシャルメディアの理解へとつながります。そのようなサイエンティフィックな目的のほかにも、情報拡散の分析は、口コミなどを利用したマーケティング戦略(バイラルマーケティング)にも利用できると期待されます。ソーシャルメディアは人間社会を映す鏡です。ソーシャルメディアについての適切なモデルを構築できれば、人間社会を理解するうえで、重要なヒントになるでしょう。
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神奈川大学 情報学部 計算機科学科 教授 斉藤 和巳 先生
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