社会に貢献するロボットの開発・実用化をめざして
ロボット開発を取り巻く技術環境は劇的に進化
ロボット開発は、あらゆる工学技術を総動員した総合エンジニアリングと言えるでしょう。機械系のメカニズムから、それを動かすためのモーターや電子回路の基板、ソフトのプログラミング、さらに情報を収集・発信するセンサーや通信の技術など、現在の最先端技術の集合体とも呼べるものです。そうしたロボットを取り巻く開発環境は、劇的に進歩しています。機械系のCAD技術からコンピュータやマイコン、センサーなどの進化により、よりコンパクトで高性能なロボットがつくれるようになったのです。
実際に社会で活躍するロボット開発へ
開発環境の進化を受けて、ロボットも研究室を出て実社会のさまざまなシーンで活躍する時代を迎えようとしています。具体的な例として、ひとつは水中や下水道管など危険をともなう極限環境で働くフィールドロボットです。すでに、船底に付着した貝殻などを取り除く船底清掃ロボットや下水道管調査ロボットなどが開発されています。また、医療分野と連携した、手術後などの血栓を予防する装置の開発や工場で活躍するマニピュレーター(人間の手作業を代行する機械)などの共同研究も進められています。
ロボットの自律化や安全性の確保が課題に
社会で実用的に使えるロボットをつくるには、多くの課題があります。ひとつは、ロボカップ用ロボットのように、ロボットが自分で判断して動く自律化です。また、きちんと動き続ける信頼性やフェールセーフ(操作ミスや故障によって生じる被害を最小限に抑えること)の思想による安全性の確保は大前提です。さらには人間の行動や心理を理解した、人と親和性のあるロボットの開発も重要になってきます。社会のニーズを掘り起こして、ロボット市場を開拓することも大きなテーマです。技術の進化により、産官学の連携でいろいろなロボットがつくれるようになった現在、ロボット開発は多彩な夢の宝箱と言えるでしょう。
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