人工知能と犬、賢いのはどっち? ~知能って何だろうか?~

人工知能と犬、賢いのはどっち? ~知能って何だろうか?~

人工知能VS生きている犬

現代の人工知能の技術はとても進んでいて、チェスの世界チャンピオンも打ち負かし、将棋のプロにも勝ちました。では人工知能と犬を比べたら、本当に賢いのはどっちでしょう? もちろん犬はチェスで勝つことはおろか、ルールを覚えることも理解することもできません。でも人工知能はチェスを楽しむことができません。犬は飼い主と遊んで楽しいことを知っていますし、また盲導犬は実に賢く飼い主を導くことができます。真に賢いのはどちらなのでしょうか?

脳科学をヒントに知的システムをつくる

人工知能が日々の日常生活に入り込み、人間社会の一員になるには、クリアしなければいけない課題がまだたくさんあります。例えば、私たちの生活は決して単調な繰り返しではなく、必ず今日とは違う明日が待っています。過去の経験の丸暗記だけでは未知の経験に対処できません。そのためには、過去の経験から「コツ」や「知識」を抽出し、習得する必要があります。私たち人間や、犬も含めた動物たちはそれをやっています。それは「脳」がやっているはずです。脳科学の成果をヒントに脳型の人工知能を開発する研究が進んでいます。

「やさしさ」を持つ人工知能は実現するのか

『星の王子さま』には「本当に大事なものは目に見えない」という言葉が出てきます。目や耳に入ってくる情報よりも、その背後に隠された真の情報が大事なのです。だから「真の知りたいことはいつも隠されている」という前提に立ち、過去の経験からそれを推論する方法を見つける、そんなアプローチの研究が進んでいます。例えば「今までの経験を地図のように表現する」という方法の研究があります。経験を重ねながら自分だけの地図を育てるのです。そうすれば地図を頼りに明日を生きていけますし、目に見えない「コツ」や「知識」も地図の中に見つけられます。将来は「やさしさ」や「思いやり」という目に見えない、直接はプログラムできないものも発見できる知能の開発につながればと考えています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

九州工業大学 大学院生命体工学研究科 人間知能システム工学専攻 教授 古川 徹生 先生

九州工業大学 大学院生命体工学研究科 人間知能システム工学専攻 教授 古川 徹生 先生

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脳型人工知能

先生が目指すSDGs

メッセージ

勉強の一番の楽しみは、「つながる」ということです。国語も社会も数学も、勉強すればするほどそれぞれの知識がつながっていき、それが進めば進むほど楽しくなっていきます。脳もコンピュータも、さらに言えば、あなたと私も、つながることで世界は広がっていきます。大学で勉強するということは、自分の力でさまざまな知識をつなげ、世界を広げていくことです。それはどのような仕事にも通じる力です。自分の力でつなげる楽しさを知るために、あなたの今があるのではないでしょうか。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

九州工業大学に関心を持ったあなたは

九州工業大学大学院生命体工学研究科は、北九州市若松区の北九州学術研究都市内に2001年に開学しました。生命体工学という新しい分野を創成し、生物の持つ、省資源、省エネルギー、環境調和、人間との親和性等の優れた構造や機能を解明し、それを工学的に実現し応用することのできる技術者や研究者の育成を目標としています。また、本研究科では様々なプロジェクトに取り組んでおり、ロボットによるサッカー競技会への参加やトマト収穫ロボット競技会の企画等を通じて、「自然とロボットのあり方」について研究を進めています。