人間とは何だ!? この疑問をロボット開発で解き明かす
日常生活で接するロボットに求められるものとは
従来のロボット研究では、主に工場などで決められた作業をするロボットが研究対象でした。産業用のロボット研究では、与えられた作業をこなすための設計とプログラミングが基本です。しかし、より一般的な、人間が日常生活をする環境で働くロボットを開発するとなると、ロボットが生身の「ヒト」と関わることを避けては通れません。すなわち、「人間と関わる機能」を作ることこそが研究の中心課題となるのです。この研究は人間とロボットの相互作用(ヒューマンロボットインタラクション)と呼ばれています。
人間理解のための技術開発
人と関わるロボットの研究開発では、ロボットの開発と人間についての理解を同時に進めなければなりません。例えば、インターネットや携帯電話などの新技術が世に出て多くの人が使うようになると、人間の新しい性質が発見されて、また製品の設計にフィードバックされたりします。つまり、製品の改良と人間に対する理解が同時に進行するのです。ロボットの場合でも、認知科学や心理学・脳科学などの人間に関する知識を工学的な知識でまとめあげ、人間社会でその性能を試したときに、使われた知識や仮説の正しさが問われます。ロボットを使うことによって、認知科学や心理学も進化するのです。
コミュニケーションメディアとしての可能性
認知科学や心理学はこれまで独自の方法論を確立してきたため、技術開発と深く結びつくことはありませんでした。しかし、技術開発の研究が進み、人間らしいロボットを作り出せるようになると、これらの分野の研究者もロボットに強い関心を寄せています。人間の姿形で人間に近い動きをするロボットの動作を子どもたちがまねるという実験結果もあるため、ロボットは将来的に心理学や認知科学の一種の研究材料の道具として使われていくでしょう。さらに、人間のように人間と関わる人間型ロボットが開発できれば、パソコンや携帯電話を超えたコミュニケーションメディアとして必要不可欠な存在になる可能性もあるのです。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。