コンピュータが生み出す音楽の新しい可能性
作曲から録音まで、パソコン1台でOK
コンピュータの登場によって、音楽の世界は大きく変化しています。例えば作った音楽を人に聴いてもらうには、楽譜で作曲し、演奏者を集めスタジオを借りて録音するという工程がかつては必要でした。さらに音源をCDとして大量生産し、レコード販売の流通網を経由して聴き手に届けるということは、一個人が簡単にできることではありませんでした。
ところが今は、これらがすべて1台のパソコンと周辺機器でできるのです。さらに、その曲をインターネットのYouTube(動画投稿サイト)やソーシャルネットワークを使って、地球の裏側まで瞬時に届けることもできます。
音楽に日常性と社会性を取り戻す
かつてのクラシック音楽は、コンサートホールという日常空間から隔離された専用空間で、熟達した演奏家によって聴衆に披露される、ごく一握りの人たちのための文化でした。ところが、コンピュータによる音楽の制作・発信・共有は、音楽を、だれでも、どこでも、いつでも享受できる最も身近な文化の一つに変えました。かつては日常生活や社会の出来事とは無縁のように存在していた音楽が日常性と社会性を取り戻す、そんな傾向をコンピュータが後押ししているといえます。
例えば東日本大震災がきっかけとなり、被災した人々を励まし癒やす存在としての音楽に注目が集まっています。音楽は人に生きる力や実感を与え、人と人を結びつける力を持っています。社会の中で音楽が果たすことのできる役割と可能性が、コンピュータを用いることでより拡大しているのです。
コンピュータを使いこなして……
コンピュータによる音楽の可能性はまだまだ広がっています。音楽のあり方は、今後さらに変化・発展していくことでしょう。あなたが作曲家であれ、演奏家であれ、愛好家であれ、コンピュータを使いこなすことで自分自身の音楽生活をより豊かにすることができます。そしてそうしたことを通じて、社会と音楽とのより良い関係を築くことに貢献できるでしょう。
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