革新的な大ヒット商品・サービスをつくるには
売れる商品、サービスを考える
業種にかかわらず、多くの企業が日々行っていることは、「問題解決」です。
つまり、「もっと自社の商品やサービスを買ってもらいたい」「お客さまに喜んでもらいたい」という目標に向けて、現状とのギャップを埋めることです。実際、多くの企業では顧客や他社のことを考えつつ調査を行い、課題を議論、共有し、今後の方向性を検討しています。新商品の開発やサービスの改善を行い、その結果のよかった点やさらに改善すべき点について評価を繰り返しているのです。
勝負どころは、品質? 機能? お客さまの笑顔?
ただ、日本は成熟した社会ですから、いくら企業努力を重ねても大きく業績を伸ばすことは簡単ではありません。品質や機能は、すでに高いレベルにあります。他社と差をつけるには、「顧客にしてほしい思い」を考えることかもしれません。
ビール業界を例に挙げると、業界1位、2位を争うアサヒビールとキリンビールの企業コンセプトはそれぞれ、「すべてはお客さまの「うまい!」のために」「おいしさを笑顔に」です。一方、3位のサントリーは「水と生きる」、4位のサッポロは「品質は、畑から」です。上位2社が顧客にしてほしい思いをコンセプトにしているのに対し、ほかの2社は品質をアピールしています。企業コンセプトが売り上げに直結しているとは言いきれませんが、興味深いデータです。
「顧客にしてほしい思い」が大ヒット商品を生む
実際、「顧客にしてほしい思い」を商品化し、成功した商品に携帯音楽プレーヤーの先駆け「ウォークマン」が挙げられます。この商品が登場する前、各メーカーが競っていたのは、静かな部屋においたスピーカーで聴く際、いかにノイズをなくし、よい音質で聴けるかということでした。でも、私たちが「音楽を聴く時」を考えると、気分を変えたい時、その時は静かな部屋の中だけでなく、旅行や通勤通学中など外でもということになり、「持ち運べる音楽」が考案されました。そうした顧客への思いを商品化したことで、革新的な大ヒットを生んだのです。
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先生情報 / 大学情報
長野大学 企業情報学部 企業情報学科 教授 森 俊也 先生
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