音楽を通して体験する子どもの世界
「表現」はとっても大切
人が生き生きと生きていく上で、思いや感情を表現することは欠かせない行為です。3歳から5歳くらいまでの幼児期に表現力を養うことは、子どもの心身の発達にとって非常に重要ですが、まだ言葉を十分に獲得していないこの時期には、遊びを通じて自由に感じたことや考えたことを表現する経験が必要です。
この年齢の子どもたちは、見るもの、聞くものを、大人とは違う感じ方で受け止めています。また、現実と空想の世界が混ざった独特の表現をします。それを保育者、教育者、保護者など周りの大人が認め、共感的に受け止めることによって、表現することの楽しさを味わえるようにすることが大切です。
こんなにクリエイティブ! 子どもの遊びの世界
遊びを通して子どもはさまざまな発見をし、生きるために必要な多くのことを学んでいきます。そして、子どもには「現実の世界」と「空想の世界」の区別もありません。
例えば、大人は聞こえてくる音を「音楽」「会話」「雑音」のように意味づけて区別しますが、子どもはすべて同じように音楽として楽しむことができます。「鳥が歌っている」という表現は、大人にとっては比喩ですが、子どもは本当に歌を歌っているように感じたり、心のスイッチ一つで、自分が鳥になることもできます。
そのようなときに、周りの大人が子どもの表現に共感することによって、子どもは安心して自分の世界に没頭でき、表現力が育っていきます。
音楽って??
学校の音楽の授業ではさまざまな世界の音楽を学びます。では、私たちはいつから「音」と「音楽」を分けて聴くようになったのでしょう? 思い込みを外して、風の音、街の雑踏の音を聴いてみると、さまざまなリズムや旋律、響きがあることに気づきます。これらは音楽の三要素、つまり「音楽」そのものと言えます。
音楽を「教える」のではなく、遊びと音楽を結びつけた多くの体験を通して、何より子どもと一緒になって表現を楽しむことが、子どもたちの好奇心や探究心を刺激し、表現力を豊かに養うことに繋がります。
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先生情報 / 大学情報
愛知教育大学 教育学部 教育科学系 幼児教育講座 准教授 麓 洋介 先生
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