学校や病院、施設に「コンサート」がやって来る!
万人に音楽を、の思いから
好きなアーティストのコンサートに行き、楽しんでいる人は多いでしょう。しかしどんなにその人が好きでも、コンサートを訪れることができない人もいます。例えば小学生くらいまでの子どもや、病気で病院や施設にいる人などは、自分の意思だけで会場に足を運ぶことができません。そんな状況を変えるために行われているのが「音楽アウトリーチ」の活動です。これは、地域の劇場・音楽堂等がアーティストを公募、登録してプログラム開発を行ったうえで、小学校や病院、施設などをアーティストが訪れるというもので、音楽や楽器を身近に感じてもらうための取り組みです。そして現在、この活動のプログラム開発についての研究が進められるようになりました。
聴く人に最も響くプログラムを
プログラム開発とは、アーティストが希望する演奏曲を尊重しつつ、プログラム内容をターゲット層にとってより魅力的になるように、アドバイスや仕掛けをしていくことです。例えば小学生向けであれば、途中でクイズを挟む、といった具合です。それを行う際には、さまざまな立場からの意見の擦り合わせが必要になるため非常に時間がかかりますが、より効率的かつ効果的なものにする手法を考えているのが前段で述べた研究です。今は音楽を提供する側へのヒアリングなどを主にして研究が行われていますが、今後は聴衆側にもより着目して、アンケートなどで反応を読み取って評価をしていくことになるでしょう。
文化的豊かさの供給
その一方で、この研究は音楽の専門教育を受けた人が、アーティストとして生きられる道を増やしていくことも目的としています。音楽大学を卒業しても、アーティストとして独り立ちできるのはほんの一握りです。しかし、アウトリーチを活用すれば、アーティストの活動できる場が日本全国に広がっていくと予測できます。その結果、各地の劇場・音楽堂等でのコンサート開催数が増えて、多くの地域に文化的豊かさがもたらされ、影響を与えていくものと考えられるのです。
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先生情報 / 大学情報
昭和音楽大学 音楽学部 音楽芸術運営学科 アートマネジメントコース 准教授 中尾 友彰 先生
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