建築家は総合的なデザイナー
可能性は無限
建築には、大きさ・形・色・光の4つの要素があります。その組み合わせは無数にあり、空間デザインの可能性は無限です。そして建築は、アートと違いそこにあるだけでは成立しません。住居や学校、店舗など、建物それぞれに用途があるからです。また、周辺環境との調和や法律、発注元の要望や予算など、さまざまな制約も忘れてはいけません。建築家は単に空間をデザインするのではなく、そうした枠組みの中で多角的に建築を考えるのです。
まちづくりからインテリアまで
建築家は家やビルを設計するだけではなく、まちづくりにも関わることがあります。新しい街をつくるとき、例えば「屋根の色はグレーで統一する」「駐車場はカーポートを作らず住宅内に入れる」など、街並みの基礎になるルールを決めます。一定のルールに沿って街をつくると、家の形は一軒ごとに違っても街全体は美しく見えるのです。
また、国や自治体が開く博覧会なども建築家の仕事場になります。会場全体の構成から、各ブースのデザイン、催し物などを含め総合的に考えるプロデューサーとしての役割を担うのです。さらにその一方で建築家は、住宅や店舗の設計にともない、家具やカーテン、メニューなどのデザインを手がけることもあります。活躍の場は、まちづくりからインテリアデザインまでとても幅広いのです。
多角的で立体的な思考力
欧米では、義務教育の一環として建築教育のプログラムがあり、多角的で立体的な思考力を教養として学びます。子ども時代からいろいろな空間を知り体験することで、たとえ専門家でなくても、まちづくりや自分の家を建てるときに豊かな発想が生まれるのでしょう。
多角的で立体的な思考力は、大学生になってからも訓練次第で鍛えることができます。想像してみてください。あなたが将来住みたいのはどんな家、あるいはどんな街でしょうか。建築に正解はありません。しかし正解がないからこそ、建築は面白いのです。
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先生情報 / 大学情報
京都精華大学 デザイン学部 建築学科 建築コース 教授 葉山 勉 先生
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建築学、インテリアデザイン先生への質問
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