大学キャンパスは小さな都市! ポイントはアクティビティ
キャンパスは小さな都市
建築分野では、大学のキャンパスは小さな都市だと考えられています。多くの人々が集まって生活していること、図書館、プール、ホールなどの都市機能が集約されていることなどの共通点があるからです。
大勢が利用する建物をつくるとき、重視されるポイントのひとつがアクティビティです。アクティビティとは人の行為や活動のことで、建物内での過ごし方や人の流れなどを左右します。例えば大学内の建物は、入り口が何方向にも設置されていることが多くあります。これは人の移動経路である動線を考慮した設計で、ほかの建物に面した場所にも入り口を設置することで移動がスムーズになります。大学ではさまざまな方向から大勢の人が行き来するため、快適に移動できるデザインが重視されているのです。
統一感と差別化を両立する
既存の建物に高さを合わせる、外壁に同じタイルを使ってデザインの統一感を出す、など景観との調和を図る点も、実際の都市計画に応用することができます。一方で、大学キャンパスでは建物の使用目的に応じた差別化も求められます。例えば更衣室や食堂など、利用者の視線が下に向かう空間では窓を比較的低い位置につくります。しかし理系学科の建物は実験台を窓際にも設置する関係上、窓が邪魔にならないよう高い位置につくらなければなりません。統一感と差別化の両立、なおかつアクティビティを考慮することが必要なのです。
快適に建物を使ってもらうために
それでも、意図した通りに利用者が動くとは限りません。通用口としてつくった小さな入り口を使用する人が想定以上に多く混雑した、などの事例もあります。より快適に使ってもらえる建物をつくるためには、実践と研究を繰り返しながら設計をブラッシュアップしていくことが必要です。それには、スマートフォンアプリやGPSによるキャンパス内の人の流れの調査や、その場所を利用する目的や誰と一緒にいるのかなどを調べるアンケート調査なども活用されています。
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東海大学 建築都市学部 建築学科 教授 岩崎 克也 先生
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