文化とともに発展する建築材料「コンクリート」
コンクリートは便利な建築素材
現代の建物の多くはコンクリートを使って建てられています。コンクリートは硬化剤であるセメントと、砂や水でできているため、安く大量に手に入りやすいという利点があります。また、最初は柔らかいので自由に形を作ることができます。固まると十分な強度を発揮し、重さを支え、地震にも強い構造の建築物が造れます。
遺跡から発掘されるコンクリート
コンクリートは古くから使われてきた建築材料です。中国の遺跡からは約5000年前のコンクリートが発掘されました。この床に使用されたのは炭酸カルシウムを焼いて粉末状にし、固めたことがわかっています。コンクリートの硬化剤であるセメントは石灰石、粘土などを焼いて作った粉末です。これに水を加えると水和反応を起こし硬化します。古代の人は石灰石の上でたき火をして、焼けて粉になったものが雨に当って偶然固まったものを見つけたのかもしれません。また、現存する古代ローマ帝国時代に作られた構造物は、コンクリートの中にレンガを板状に配置し、今の鉄筋コンクリートと同じような強さがあります。錆びる鉄筋が入っていないので2000年の耐久性があります。
コンクリートの進化系登場!
最近では、新しい性能を備えたコンクリートが登場しています。高層ビルの低層部は自重を支えるために太い柱が必要ですが、柱が太いと居住空間は狭くなります。そのため、細い柱でも高層建築を支えられるように高強度なコンクリートが開発されました。またコンクリートは、硬いだけだと地震で大きく揺れた時に割れてしまうことがあります。これを防ぐために、繊維などを含んだ強靭なコンクリートが研究されています。さらに、硬化前に水のように自由に流れるコンクリートも作られています。現在使われているコンクリートは建築現場で人が少しずつ流し込む作業をして固めますが、水のようなコンクリートを使えば、短期間で大きな建築物を造ることができるでしょう。このような新しいコンクリートの登場が、高機能で美しい建築を生み出していくのです。
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先生情報 / 大学情報
東京都立大学 都市環境学部 建築学科 教授 橘高 義典 先生
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