獣医学には、未知の領域が無数にある
犬の血液型って?
動物の体や病気については、いまだに解明されていないことがとてもたくさんあります。例えば、犬の血液型は少なくても10種類がわかっていて、輸血経験のない犬は1度目の輸血では拒絶反応が起こりにくいなどが知られていますが、その理由やそのメカニズムについてはわかっていません。ですから輸血する場合も、血液をもらう側と与える側双方の血液の成分を試験して拒絶反応が起こらないかどうか確かめてから行う必要があります。また、ひと言で「犬」といっても、ビーグル犬と秋田犬では赤血球の大きさが違うなど、犬種によって血液の性状は大きく異なります。その性状がある程度わかっているのは、比較的よく飼われていて私たちに身近な一部の犬種のみなのです。
同じ病気でも動物の種類によって微妙に違う
動物病院に持ち込まれる犬や猫の病気のうち、3割ほどを占めるのが皮膚病です。アトピーなどの皮膚病は「自己免疫性疾患」と呼ばれます。もともと自分の体の中にあるものに対して、自分自身の抵抗力が異常に反応してしまうことが原因で起こります。つまり、免疫系が自己と非自己を見分けることができずに自分自身を攻撃・破壊してしまうことで発症するのです。しかし、そのメカニズムについても、いまなおよくわかっていません。この中には人間と犬で共通の問題もあれば、犬や猫それぞれに特有のものもあります。同じ病気でも、動物やその種類によって少しずつ違っているのです。
研究すべきフロンティアがたくさんある
種による差に加えて、個体差も大きいのが動物です。そのため、治療法は獣医師自身の判断が大きく関わってきます。獣医学はあらゆる動物種を扱うという性質上、わかっていないことばかりとも言えます。医学とも密接な関係を持ちながら、独自のフロンティアを多く残す学問なのです。最後に、動物ならではの点を一つ紹介しましょう。治療の際、事前に飼い主に同意を得るのは人間の場合と同じですが、臓器移植だけは倫理上認められていません。それは「本人」の意志が確認できないからです。
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大阪公立大学 獣医学部 獣医学科 教授 笹井 和美 先生
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