心理テストのつくり方、教えます
性格や心理状態がわかる「心理テスト」
雑誌やテレビなどで、時々見かけるアンケート形式の心理テストに、あなたは興味がありますか? いくつかの質問に「イエス」「ノー」などで答えていくことで、自分の性格や今の心の状態がわかる結果を示してくれます。このような心理検査は、20世紀中頃から後半、人々が「個人差」というものに関心を持つようになったことからはじまりましたが、先のような質問形式の心理テストはどのように作成するのでしょうか? 「あなたの幸福度は?」という心理テストを例に考えてみましょう。
「幸福」の成分を考える
まず、「幸福」感が、どういう要素でつくられているか考えます。少し難しい言い方ですが、これを「成分」と呼びます。「達成感」「満足感」「有能感」など、幸福感の成分を考えるのです。心理学者は、自分の仮説に基づいて、いくつか成分を選びます。次に、その成分をわかりやすい質問の形になるように言いかえます。「あなたは、こんなときにどうしますか?」というように、テストを受ける人たちの生活にあてはまるような質問をつくっていくのです。仮に幸福感が5つの成分でできているとしたら、1つの成分について、10個の質問を考えれば、合計50個の質問ができることになります。ただし、本当にその質問をすることが、分析する上で正しい結果に結びつくものなのか、吟味しなくてはなりません。
結果は自分を知る糸口になる
テストの結果の点数によって、幸福度が「高い」あるいは「低い」などの結果を導き出すことになります。研究者は自分の仮説に基づいて尺度を設け、それに即して質問を考えますから、もちろん、同じ名前のテストをつくっても、研究者によって当然、質問内容や結果が異なる場合もあります。ですから、1つのテストで自分の心や性格がすべてわかるわけではありません。ただし、自分を理解するきっかけにはなります。心理検査は「自分」というものを見つめ直す、ひとつの糸口なのです。
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先生情報 / 大学情報
帝塚山学院大学 総合心理学部 総合心理学科 教授 西川 隆蔵 先生
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