英語教育の強い味方! 英語コーパス言語学とは?
辞書づくりでも活躍中! 「英語コーパス言語学」
英語を勉強するとき、辞書や単語帳を使うでしょう。こうしたものの中には、「英語コーパス言語学」という分野の研究に基づいてつくられているものがあります。「コーパス」とは、たくさんの言語資料を収集してつくられたデータベースのことです。コーパスは実際の英語の用例の集まりなので、それを用いて作られた辞書を使えば「生きた英語」を調べることができます。この分野では、辞書編纂のための研究だけではなく、英語の学習者が書いた英語の文章の分析や、医学・医療分野や工学分野などの論文や、文学作品の研究も行われていますし、書き言葉だけでなく、話し言葉の研究も行われています。様々な言語のデータが研究の対象になっています。
ある分野に特有の語句も研究されている
この分野では、使用頻度の高い語や複数の語が塊で意味をなす表現なども研究されています。また、非常にたくさんの一般的な内容の言語データを集めた大規模なコーパスと、特定の分野の言語データを集めたコーパスを用いることで、特定の分野に特徴的な語句を見出すこともできます。
教育分野での応用もさまざま
教育分野との関連では、語彙表の作成など教材開発にも応用されています。近年、英語教育の変化の1つに小学校5・6年生で英語の教科化がありますが、その以前から小学生のための語彙表の作成が行われており、コーパスは今後もこの分野での活躍が期待できます。
学習者の英語を集めた「学習者コーパス」を用いて、学習者の英語の特徴を明らかにする研究も行われています。学習者コーパスには日本人の中高生の英作文を集めたものもあります。また、コーパスは分析の対象としてのみ使われているのではありません。Data-Driven Learning(DDL)と呼ばれるアプローチでも用いられています。DDLでは学習者が実際にコーパスを検索したり、教員から示されたデータを見たりして、たくさんの用例から言語の規則や語句の意味に気づいていくという学習が行われています。
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先生情報 / 大学情報
帝塚山学院大学 リベラルアーツ学部 リベラルアーツ学科 講師 八野 幸子 先生
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