子育て期の親のストレス緩和へ マインドフルネスに必要な工夫
養育者のメンタルヘルス
子どもの心の健康は、親をはじめとする養育者のメンタルヘルスの影響を受けることがわかってきました。養育者の心が良好な状態だと、子どもへのかかわり方が安定し、子どもの健全な発達が促されるのです。そこで、育児期の母親に対する効果的なストレスケアのプログラムが検討されています。その手法の一つが「マインドフルネス」です。呼吸瞑想(めいそう)やヨガなどさまざまな方法で、「今ここ」で経験している、考えたり、感じたりしていることに意識を向けます。
母親が実践しやすいプログラムとは?
本格的なマインドフルネスプログラムは、「1日約40分の瞑想を8週間続ける」といったようにまとまった時間が必要です。しかし育児期の母親には忙しい人が多く、実践はなかなか困難です。海外の先行研究でも多数のプログラムが提案されていますが、実施率や継続率が低いものも少なくありません。家事、育児、仕事などの合間、もしくは何かをしながらでも取り組みやすくなるように、プログラムの工夫が求められています。
そこで、時間や場所を問わずに実施できるエクササイズが導入されました。その一つに「セルフコンパッション」があります。セルフコンパッションは「自分に優しい言葉をかけていたわる」というシンプルなものです。子どもを寝かしつけながらでも行えるため、育児期の母親でも実践しやすいエクササイズだといえます。
段階的に自分をいたわる
しかし、育児期の母親に実践してもらうと「違和感を覚える」などの感想が得られました。多くの母親は子どもなどの他者にエネルギーを注いでいる傾向があり、自分に意識を向けることに苦手意識を感じていたのです。そこで、まずは母親が大切だと思っている相手(子どもなど)を思い浮かべて優しい声かけをする、という工程が加えられました。そうして慣れたところで自分に対して優しい声かけをするよう促し、違和感を軽減します。このように、母親の実際の声を反映させながら、育児期でも続けやすいプログラム作りが行われています。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
駿河台大学 心理学部 心理学科 准教授 相馬 花恵 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
臨床心理学、発達心理学先生が目指すSDGs
先生への質問
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?