外国語学習の質を高めるには? 自律的な学習を支える研究
自律的な学びの重要性
日本の学校教育では、先生が指示や課題を与えて、生徒はその通りに勉強する、といった学習が主流のようです。しかし学習の質を高めて生徒の力を伸ばすためには、自律的な学びが必要です。その一環として、外国語教育の分野で注目を集めているテーマが「学習者オートノミー(Learner Autonomy)」です。「自律学習」ともいわれており、生徒が自分の学習に責任を持ちます。
振り返りの練習をする
学習者オートノミーに必要な力を育むときは、振り返り活動(Reflective Activities)が効果的です。生徒が本当に学びたいことを明らかにして、到達度を自覚できるような振り返りを行うのです。しかし多くの生徒は振り返り活動に慣れていないため、まずは先生が質問をしてノウハウを身につけさせる必要があります。
例えば「外国語学習の目標は?」といった質問です。多くの生徒はなんとなく外国語を学ぶために授業に参加しており、明確な目標を持っていません。これでは先生から言われた内容にしか取り組まないため、自律的な学びは難しいでしょう。そこで先生の質問によって、言語を学んだ先でかなえたいことを発見させる試みが行われました。その結果、自分なりの目的意識を持って意欲的に授業に取り組む生徒が増えたのです。さらに授業後も先生が目標に対する到達度を質問すると、生徒は学習の成果や課題を実感でき、学習内容を改善しやすくなることがわかってきました。
カリキュラムや保護者が課題に?
学習者オートノミーを広めていくうえで課題となっているのが、学校のカリキュラムや保護者の考え方です。教員は各学校のカリキュラムに沿った教育を行わなければならず、振り返り活動をする余裕がありません。また、ときには受動的な教育を受けて育った保護者が「なぜ自律的な学びが必要なのだろう」と疑問を感じて反対することもあります。こうした課題を解消することも、学習者オートノミーの普及において重要なのです。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。