主体的に学ぶ環境をどう用意する? 授業作りと学級作りの工夫
主体的な学びをどう作る?
日本の学校教育は、子どもたちが主体的な学びをする力を養うことをめざしています。学習への意欲を高め、自分のために勉強を頑張る力を伸ばしていくのです。主体的な学びを引き出すには、授業で知識を教えるだけでなく、学級で過ごす時間を充実させることも大切です。効果的な教育方法などを探るため、研究と実践が行われています。
学級作りに役立つ心理テスト
授業作りと学級作りは、どちらもきちんと振り返り、課題を明らかにすることで、適切な対処ができます。しかし学級作りでは教員の感覚で対処しなければならない場面が多く、現状の課題や改善方法を客観的に判断することが困難です。そこで心理学者が「Q-Uテスト」という心理テストを開発しました。クラスの中で認められていると感じるか、嫌な思いをしていないかなどを子どもたちに答えてもらうテストです。教員はその結果を見て、いい学級に必要だと考えられている「教室内でのルール」や「良好な人間関係」などがきちんと機能しているかを判断します。このようにエビデンスに基づく分析によって「学級作りがうまくいっている」とわかれば、教員の自信にもつながるでしょう。
ICTで授業作りを改善
授業作りではICTの導入が注目を集めています。メリットの一つが学習の振り返りがしやすくなることです。従来は紙の答案用紙などをひたすらめくって学習を振り返る必要がありました。一方ICTではタブレットなどで問題を解くと、クラウド上に学びの履歴が自動的に蓄積されていきます。すると即座に自分の学びを振り返ることができ、苦手な部分もすぐにわかります。その結果子どもたちは課題を克服するための方法を自ら考えて実践でき、教員は適切な指導方法を考えやすくなると期待されています。ただしICTを活用した授業はまだ先例が少ないため、学校現場で試行錯誤している最中です。研究の現場では課題の発見や分析を手伝い、教員と共に問題解決に取り組んでいます。
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先生情報 / 大学情報
福岡教育大学 教育学部 教育心理研究ユニット 教授 生田 淳一 先生
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