歯科インプラントは家と同じく、土台づくりが大切
インプラント治療を知っていますか?
今や歯科治療において「インプラント」は、かなり知られるようになってきました。インプラントとは簡単に言えば、失った歯を回復するために骨を削って、インプラント(人工歯根)を埋め込み、それに人工の歯をつける治療法です。インプラントの素材はチタンやチタン合金が主流で、ブリッジや取り外し式の義歯(入れ歯)に比べ、違和感や異物感が少なく機能性に優れていることから、ここ10年ほどで広く普及してきました。
超音波で骨をくっつける?
インプラント治療において重要なポイントのひとつは、埋め込んだインプラントと骨の結合です。しっかりと結合するまでには通常3カ月から半年程度の期間を要しますが、結合までの時間をいかに短くできるかが研究されています。骨とインプラントの結合期間短縮には、これまでパルス電磁波や微弱な電流が使われていました。しかし電磁波などで結合を促すには1日6~8時間ほどかかり、これを縮めたいと実験を繰り返した結果、超音波を使うことで1日15~20分で骨とインプラントの結合期間を1.5~3カ月に短縮する方法にたどり着いたのです。
もうひとつ、インプラント治療で大切なのが「土台づくり」です。歯というのは、目に見えている「冠」の部分と、歯茎やその下の骨にある「根」の部分があり、いくら冠をきれいに丈夫につくっても根、つまり土台がしっかりしていなければうまくいきません。家づくりと一緒で、まずは土台をしっかりとつくることが大事なのです。
究極の目標は自分の歯の再生
インプラントの研究で最終的にめざしているところは、自分自身の歯を再生させて本来の場所に埋め込むことや生やすことでしょう。どれだけすばらしい人工物を作ったところで自分本来の体には勝てないでしょう。ただし、オリンピックに義足選手が出場したように、進化したインプラントは本来の歯より噛むことができたり、歯槽膿漏になりづらいといったように進化する可能性もあります。これからのインプラント研究の発展が期待されているのです。
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先生情報 / 大学情報
北海道医療大学 歯学部 歯学科 教授 越智 守生 先生
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