漁業資源を持続可能にするために
魚が減っている!?
カツオやサンマといった漁業資源は、多くの国が漁獲しています。漁業資源は生物資源であることから、持続可能な利用が可能です。一方で、獲り過ぎてしまえばその資源は激減し、枯渇してしまいます。
国際的な漁業資源を持続可能な形で管理するために、国際機関が設立され、漁獲高などの管理措置を導入しています。例えば、中西部のカツオ・マグロ資源については、「中西部太平洋まぐろ類委員会」が設立され、日本を含めた関係国が資源管理のために協力しています。このことは、持続可能な開発目標14(海の豊かさを守ろう)を達成するための取り組みの一つです。
生物学から経済学まで
漁業資源の持続可能な利用のためには、まず、各魚種の資源状況を明らかにする必要があります。このため、各国の科学者が協力して科学的な資源評価を行います。
次に、国際機関において、科学的な意見を踏まえた具体的・実効的な資源管理措置(例:漁獲高の上限設定)を導入することが必要です。このためには、生物学・海洋学などの自然科学に加えて、法学・経済学をはじめとした社会科学など、さまざまな分野の知見を集結することが必要です。
共同体による取り組み
漁業資源に限らず、地域の里山や水などの共有資源(ローカルコモンズ)については、中央集権的な政府の力を借りることなく地域の共同体が自主的に管理している事例が日本だけでなく世界中で見られています。
海洋に広く分布する漁業資源は、世界的な共有資源(グローバルコモンズ)と呼ばれています。また、関係国が国際機関を通じて資源管理に協力することを、国際共同体による自主的管理と考えることができます。もちろん、人間から構成される地域の共同体と、国家によって構成される国際共同体は、その成り立ちやスケールが違いますが、固定観念にとらわれずに分析すれば、関係者(国)の自主的な協力という意味で、スケールを超えた共通の性質を見つけることができるかもしれません。
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先生情報 / 大学情報
東京海洋大学 海洋生命科学部 海洋政策文化学科 教授 猪又 秀夫 先生
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