作業療法士は、人生を取り戻す専門家
患者さんがやる気になる作業で、リハビリを行う
作業療法士(OT)が行うリハビリなどの支援の対象となる患者さんは、大きく4つに分けられます。脳卒中などによる麻痺で体が不自由になった人、認知症や高齢の人、生まれつき障がいのある子ども、精神に障がいがあり日常生活が困難な人です。
病院・施設に勤務して医療行為を行うケース、家庭を訪問して行うケースがあります。理学療法士(PT)は関節の曲げ伸ばしなどをして、身体活動の維持を目的としたリハビリを中心に行ったりするのに対し、作業療法士はその人がやる気になることを見つけ、作業を通じて本来の能力を再獲得するサポートをします。つまり作業療法士は、単なる体の機能回復のトレーナーではなく、精神面も考えた援助をしていくのです。
この子どもは、どんな刺激に反応するのか
例えば、生まれても泣かないし、息もうまくできない、お乳も吸わず、体がガチガチで動かないという、重いハンディキャップのある子どもの場合、作業療法士はその子どもがどんな刺激に反応するかを探ることからスタートします。キラキラしたものに反応するのか、揺れる動きか、柔らかな音か、大きな音か、さまざまな感覚刺激を与え、その刺激に反応して首を少し動かしたり、目を見開いたりといった動きに結びつかせていきます。このようなリハビリも作業療法の役割なのです。
患者さんが住み慣れた環境に入っていく
患者さんにとっての最終ゴールは、失った心身機能をできる限り回復し、いつもの日常生活を送れるようになることです。そのためには患者さんが住み慣れた環境(学校や家、職場)に入っていき、患者さんが望む生活ができるように支援していきます。「OT」というのは、オキュペイショナル・セラピストの略です。オキュパイは、占めるという意味で、事故や病気で失った機能を取り戻し、ぽっかり空いてしまった人生を埋めていくことから付けられた名称です。患者さんの人生を取り戻す専門家として、作業療法士はこれからますます大きな役割を担っていくことになるでしょう。
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