医療現場で開発された、患者さんに寄り添う「リハビリ・ロボット」

医療現場で開発された、患者さんに寄り添う「リハビリ・ロボット」

リハビリ・ロボットの開発!

病気やケガで身体が不自由になった人をサポートする、リハビリ・ロボットの研究が盛んになっています。
リハビリ・ロボットには、患者さんの練習を助ける「練習支援ロボット」、患者さんの自立した生活を助ける「自立支援ロボット」、介護する人を助ける「介護支援ロボット」の3種類があります。

やる気を引き出す「練習支援ロボット」

今までのバランス練習では、まず手すりにつかまって両足で立つ、それができるようになれば片足でと練習を進めていました。しかし、動きが少ないために自分の動きが正しいかどうかわからない、練習が簡単すぎるまたは難しすぎる、などの問題がありました。立ち乗り型のバランス練習支援ロボットは、患者さんが重心を移動することによってロボットが前後左右に移動するので、その動きから自分の重心がどこにあるか患者さん自身が理解することができます。また、ロボットの動きに連動してキャラクターが動くテレビゲームでは、練習の難易度を簡単に調整できます。すると、「重心が体感できる」「ちょうど良い難しさ」「動きのあるゲーム体験」などの効果によって患者さんはやる気を出し、より高いリハビリ効果が期待できます。

患者さんに寄り添う「自立支援ロボット」

脊髄損傷などのように下半身が不自由になり、車椅子生活を送る患者さんの場合には、自立した生活を支援するロボットが開発されています。海外ではいくつかのロボットが製品化されていますが、大がかりなものも多く、患者さんが日常生活で使うにはいくつか改善すべき点がありました。
そこで「手軽に自立した快適な歩行を」と開発されたのが「WPAL」です。これは、両脚の間に支柱とモーターをつける構造で、患者さんが自分で手軽に装着できます。この開発に携わったのは、医師、理学療法士、作業療法士、義肢装具士、リハビリ工学士、メーカーのエンジニアたちでした。
ロボットというと工学分野のイメージがありますが、医療の現場だからこそ開発できる「患者さんに寄り添うロボット」もあるのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

藤田医科大学 保健衛生学部 リハビリテーション学科 准教授 田辺 茂雄 先生

藤田医科大学 保健衛生学部 リハビリテーション学科 准教授 田辺 茂雄 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

リハビリ工学、理学療法学、作業療法学

先生が目指すSDGs

メッセージ

今、世界中でリハビリテーション・ロボットの開発が始まっています。その中でもトップを走る藤田保健衛生大学リハビリテーション部門のリハビリテーション・ロボットは、近い将来、リハビリ医療の現場で、理学療法士や作業療法士と一緒に働くようになるでしょう。
もし、あなたが療法士をめざしているなら、生物などの医学に直接つながる勉強だけではなく、物理や情報などの工学的な分野にも興味を持って学んでおくと、大学の講義の理解がより一層深まると思います。

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本学では、医学部と医療科学部(医療検査学科・放射線学科)、保健衛生学部(看護学科・リハビリテーション学科)および大学院、研究室が1つのキャンパスに設置されています。日本屈指の病床数を誇り、最先端医療を担う大学病院を併設しており、恵まれた環境のなかで勉学に打ち込むことができます。また、チーム医療に必要なコミュニケーション能力の早期習得が可能で、すべての学部学科交流によるアセンブリ教育を必修プログラムとし、専門職連携をおこなう能力を段階的に身につけます。