歩行のサポートだけじゃない! 履きやすい装具の開発とは
歩行を助ける装具の効果
脳卒中の後遺症で足に運動まひなどの障害が残った場合、足の機能を補うために装具を使います。「短下肢装具」は、ふくらはぎからつま先にかけて、ベルトなどで足を固定しながら歩行をサポートするものです。例えば同じ人に2種類の短下肢装具を履いて歩いてもらい、それぞれ動画を撮影して2画面で比較してみると、装具によって歩き方もそのスピードも全く異なることに気づきます。実は装具にはたくさんの種類があり、理学療法士はその人に合ったものを選ぶ必要があります。また装具は長く履き続けることによって、足の変形を予防する意味があるのです。
履きやすいポイントって何だろう
とはいえ、手足が動きにくい人にとって、例えば外出の度に装具を履くことは面倒なことでもあります。そのため「履きやすい装具」の開発研究では、まず「履きやすさ=短時間で履けること」と考えて、3つの装具について履けるまでにかかる時間を計測しました。その際、かかとがきちんとついていない、ベルトが少し緩いなど履き方が雑になっていたため、さらにかかとにセンサをつけてきちんと履けているかを確認しながら行いました。結果、その人の状況によっても異なる部分はありますが、関節部分が動く仕様の方が履きやすい、基本3カ所あるベルトをいかにうまく巻けるかがポイント、といったことがわかってきました。
使う人の気持ちになって考える
「短下肢装具に求めるもの」を使っている人に回答してもらうと、1位は「歩きやすさ」でしたが、その次に「履きやすさ」が挙がりました。どれだけ歩きやすくていい装具であっても「近所に出るだけだから、履かなくてもいいか」となっては意味がありません。使う人の気持ちを考えると、まず「履く」という行為自体をいかに簡単にするかという視点に立った装具の開発が非常に重要だといえるでしょう。また、併せて歩くスピードや足の着地角度を分析するなど、装具を履いた後の歩きやすさに関する研究も求められます。
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先生情報 / 大学情報
国際医療福祉大学 小田原保健医療学部 理学療法学科 講師 右田 正澄 先生
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中枢神経疾患系理学療法学 、装具学先生が目指すSDGs
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