スマホが斜視の原因に? 目の健康に悪影響を及ぼす身近な習慣と流行
スマホを見続けると
感覚情報の8割は視覚から得られ、目は大切な器官です。しかし、何気ない日常の行動が目の健康に悪影響を及ぼすことがあります。近くを見るときはピント合わせと寄り目を連動させますが、スマホや携帯ゲーム機の画面を至近距離で長時間見続けると、寄り目が過剰に働き、黒目が内側に寄って戻らない「内斜視」になる恐れがあります。最初は物が二重に見えるようになり、時間が経つと片目で見る癖がつき、両目で立体的に物をとらえる両眼視機能が不良となり、奥行き感覚がわからなくなります。スマホなどの使用中止でよくなることもありますが、改善しない場合には手術が必要になる場合もあります。また、近視が進んだり、ブルーライトの影響で睡眠が妨げられたりすることもあります。目の健康を維持するために、「使用は1回30分」、「画面から30cm離す」、「30分は目を休ませる」の「30ルール」が推奨されます。
カラコンには角膜障がいの危険性
カラーコンタクトレンズ(カラコン)が流行していますが、これも目に悪影響を及ぼす可能性があります。コンタクトレンズは、副作用・機能障がいが生じた場合に人体へのリスクが高い「高度管理医療機器」として国の薬機法(医薬品や医療機器の安全性に関する法律)の規制対象です。しかし、安価に売られているカラコンは、日本と比べて規制がゆるい海外製品が多くを占めています。目に入れている間に色素が流れ出る、酸素透過率が悪いなどの不具合や、処方せんなしで購入できるために目に合わないタイプを無理に使用しているケースも見られます。このため、角膜に傷ができ、進行して角膜潰瘍(かいよう)になると失明の危険さえあります。
疾患の理由を探り警鐘を鳴らす
スマホやカラコンによる目の障がいは、個人が健康への意識をしっかり持つことで防ぐことができます。疾患の要因を探り、社会に警鐘を鳴らすことは医学の大切な役割であり、斜視や両眼視の検査、角膜の形状解析や視力・屈折検査を担当して目の健康を守るのは視能訓練士です。
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先生情報 / 大学情報
国際医療福祉大学 大学院 保健医療学専攻 視機能療法学分野 教授 新井田 孝裕 先生
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