スマホの画像情報で、「おらが町の交通安全マップ」をつくる

スマホの画像情報で、「おらが町の交通安全マップ」をつくる

ドライバーのつぶやきを交通安全情報に活用

スマートフォンの急速な普及にともない、いつでもどこでもインターネットに接続してツイッターやフェイスブックなどのSNSでつぶやくことができるようになりました。そうした多くの人々が発信する膨大な情報は、ひとつの目的に応じて収集・解析することで大きな力となります。例えば、「ここから先は見通しが悪いので注意して運転してください」といったドライバーのつぶやきを集めれば、「おらが町の交通安全マップ」をつくることができます。タクシードライバーなどの間で口コミで共有されている交通安全情報を、広く一般市民から集めて、みんなで活用しようというアイデアです。

つぶやきの代わりに撮影情報を収集

しかし、ドライバーが的確につぶやくのはなかなか難しいのも事実です。そこで、つぶやきの代わりにスマートフォンで撮影した画像情報を収集して自動的にクラウド上のサーバーに送信し、コンピュータで画像を自動解析すれば、手間とコストがかからないシステムをつくることができます。具体的には、スマートフォンをクルマのフロントに設置し、急ブレーキを踏んだときの衝撃を感知してカメラが自動的に起動し、ブレーキを踏む3秒前からの撮影画像を送信するのです。

画像を自動解析し、安全運転をアプリでサポート

このシステムづくりには、2つの技術が必要です。ひとつは、スマートフォンで撮影したデータを自動送信したり、ダウンロードした情報を活用したりするためのアプリの開発です。もうひとつが、画像解析の技術です。急ブレーキを踏んだのが追突しそうになったからなのか、あるいは人が飛び出してきたからなのかといったことを、あらかじめ画像分析のパターン分類キーをつくっておいて、コンピュータで自動解析させます。その情報をスマートフォンのGPS位置情報と組み合わせることで、住民や初めて町を訪れた人も、急ブレーキが多く踏まれている場所を把握でき、より安全にクルマを運転することができるのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

九州工業大学 情報工学部 知的システム工学科 教授 榎田 修一 先生

九州工業大学 情報工学部 知的システム工学科 教授 榎田 修一 先生

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情報工学、知能情報工学、画像処理工学

先生が目指すSDGs

メッセージ

あなたの身の回りにはコンピュータがあふれていると思います。計算や記憶を数多くこなし、私たちの生活を非常に便利にしてくれました。しかし、コンピュータにも弱点があります。「パターンを理解すること」が難しいのです。例えば、いま目の前に人がいるかどうかを判別することなどです。
私はカメラから入ってきた画像を用いて、コンピュータにパターンを理解させる画像処理の研究を進め、生活に役立つシステムの開発に取り組んでいます。あなたも九州工業大学で知識や技術を学び、一緒に開発してみませんか。

九州工業大学に関心を持ったあなたは

「情報工学」は、高度情報化社会の進展の中で、ますます必須知識・ 技術となっています。九州工業大学情報工学部は1986年 に創設された日本初、現在も国立大学法人で唯一の情報工学部で、2016年に創設30周年を迎えました。知能情報工学科、電子情報工学科、システム創成情報工学科、機械情報工学科、生命情報工学科の5学科があり、情報工学の学びを軸としつつ、各学科の応用分野に対する教育研究を進めています。特に、教育システムは、全学科がJABEEに認定され、世界的に通用するものであることが保証されています。