歯医者さんが痛い場所ではなくなる!
「削って治す」歯科医の世界が変わる
歯科医といえば、痛くなってから行く場所というイメージが一般的でしょう。そして、削って治療することで成り立つと考えている歯科医が多いのも実情です。保険制度もそうした治療が前提になって作られています。
しかし、歯科の治療技術の研究は近年大きく進歩し、昔とは大きく変わっています。それを受けて、これからは「削って治す」という歯科医像も変化していくと考えられています。
歯周病と全身疾患との関連
例えば、歯周病は成人の大多数がかかる病気です。歯周病は厳密には歯ぐき、つまり血の通った部分の病気なので、歯周病の炎症性物質は体中を巡り、それが全身の病気を引き起こすことが知られています。例えば、血液の流れが悪くなり、脳梗塞や心筋梗塞の原因にもなります。あるいは、糖尿病を悪化させることもわかっています。歯科医といっても、歯や口腔内だけにとどまらず、こうした全身の病気についての理解を深めることが求められるのです。
予防にシフトする歯科医の仕事
また、長寿社会になった日本では、自分の歯を一生丈夫な状態で保持することが大きな課題です。しかし、虫歯でも歯周病でも、「痛い」という自覚症状が出た段階からの治療は複雑ですし、痛みもともないます。そこで、これからの歯科医は痛くなってから飛び込む場所ではなく、病気にならないよう口の中を定期的にチェックし、自分の歯を守るための注意点を教えてもらう場所になっていくでしょう。
もしも、虫歯にも歯周病にもならなかったとしても、歯は日常生活ですり減ったり溶けたりしますから、一生丈夫な歯を保つには歯科医の力が必要です。つまり、今までの外科的な歯科医から、内科的な歯科医、つまり「ここが悪くなりそうだから気をつけましょう」というアドバイスや、そのためにはどんな歯磨き剤でどんな磨き方をしたらいいかなどの予防にシフトしていくと考えられています。歯科医には常に最新の研究成果を学び続けることが求められるのです。
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