税の負担はどう決まる? 税の問題は計算だけではない! 税法学とは
すべての国民にとって平等なのは、どんな税金?
納税は「国民の義務」と憲法で定められています。同時に、「法の下の平等」も憲法で定められており、税のあり方は平等でなければなりません。では、どんな課税方法が「平等な税」といえるのでしょうか?
現代社会の授業で学ぶ「累進課税」は、収入が多い人ほど高い税率で税金を払い、そうでない人は低い税率で良いという、公平な課税方法に思えます。しかし、それが平等だとすると、収入の多少にかかわらず税率が一定の「消費税」は、不平等になるのでしょうか? 逆に、すべての人に一律な消費税を平等だと考えると、累進課税は平等ではないのでしょうか? このように、税の問題は税額の計算だけではないのです。
どうやって税の負担は決まるの?
公平な税のあり方について考えるとき、そもそも税制はどうやって決まるのかを理解しなければなりません。実は、税のあり方はすべて法律で決まっているのです。累進税率や消費税の税率はどれくらいならいいのか、どんなときに誰に税金が課されるのか、すべて法律で決めるのです。法律で決めるということは、自分たちで自分たちの税の負担を決めていると言えます。国民は納税の義務を課されるだけではありません。自分たちの代表を国会に選出し、そこでどのような税をどれだけ負担するか、決めているのです。
正しい税の知識をもって税のあり方を考えよう
自分たちで税のあり方について決めているといってもあまり実感がないでしょう。でも、法律で決まっていたら、どれくらいの税金を払うのか、予測できるようになります。また、法律で決まっている以上の税金を納める必要はないのです。税について正しい知識をもって、法律に定められた適切な納税を行うことで、公平な税のあり方について考えることができます。そのためには、税に関する法律を正しく理解することが必要です。それが税法学です。そして、税が公平であるために法律はどうあるべきかということは、税法学の重大なテーマの1つです。
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広島修道大学 法学部 法律学科 教授 奥谷 健 先生
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