電子マネーは世の中にどんな変化をもたらすのか

電子マネーは世の中にどんな変化をもたらすのか

現金かクレジットカードか

私たちが買い物で支払いをするとき、現金やクレジットカードなど、いくつかの手段を使っています。大ざっぱに言うと、額が小さい場合は現金、大きい場合はクレジットカードと使い分けられている傾向にあります。なぜでしょうか。クレジットカードは軽く、盗まれても連絡して止めることができるという便利なものですが、決済するときにサインをし、カード会社に信用を確認する時間がかかります。このわずらわしさは額にかかわらず一定なので、少ない額のときには現金で支払う傾向が強くなるのが一つの理由です。

電子マネーの長所と短所

ここ数年、新しい決済手段として電子マネーが登場しました。電子マネーの長所は、おつりのやり取りがなく、サインをする必要もないので、時間が短縮できることです。このため、まず買い物の時間を短縮したい人が、現金の代わりに電子マネーを使うようになりました。さらに、最近の電子マネーは、最小限の個人情報を登録すれば、カードをなくしても残高が保障されるようになりました。今では、クレジットカードの領域も徐々に奪いつつあります。一方で、短所は使える店が少ないことでした。これはカードリーダのレンタル料とスペースが問題でしたが、今は一つの機械で決済できるようになったので、使える店舗が増えつつあります。

電子マネーが及ぼす影響とは

電子マネーが普及している現象と大きく関係していると考えられているのが、ここ数年の小額貨幣の流通量の減少傾向です。受け取り手のない貨幣は、いずれは政府が買い取らなくてはならないことになっています。これは国にとっては想定外の支出なので、電子マネーがますます普及すると、小額貨幣は今までのような規模では発行されなくなるかもしれません。歴史を振り返ってみても、新しい決済手段は、そう度々は生まれません。ですから、電子マネーが流通を始めている今という時代は、それがどのように普及するかをリアルタイムで研究できる、滅多にないチャンスなのです。

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成城大学 経済学部 経済学科 教授 中田 真佐男 先生

成城大学 経済学部 経済学科 教授 中田 真佐男 先生

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金融学

メッセージ

あなたは、今は部活や勉強などで忙しく、一つ一つのことに「なぜ?」と深く考える時間がなかなかとれないと思います。でも、それができるのが大学の4年間です。何もまじめなことでなくてもいいのです。「人はなぜ働くのか」「なぜ恋をするのか」でもかまいません。私の場合、大学で金融という学問に出会い、「人はなぜお金を使うのか」「なぜ今のお金ではだめで、電子マネーという新しいお金が必要なのか」と考えるようになりました。あなたも大学に入ったら、「なぜ?」を深く考えて充実した時を過ごしてください。

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成城大学は小田急線「成城学園前」から徒歩3分の閑静な住宅街にあります。キャンパス内には幼稚園から大学院まであり、学内の敷地を幼稚園児、小学生が歩いています。また、学園の正門には扉が無く、24時間開放されており、さらに大学の周囲には高い塀はなく、低い生垣があります。それは、この地が成城学園を中心に開けた町だからです。在籍者数も5800名という小規模の大学ですので、成城大学では少人数教育の実践(各学部ゼミナールが必修、卒業論文も法学部を除いて必修)に力を注いでいます。