電子マネーは世の中にどんな変化をもたらすのか
現金かクレジットカードか
私たちが買い物で支払いをするとき、現金やクレジットカードなど、いくつかの手段を使っています。大ざっぱに言うと、額が小さい場合は現金、大きい場合はクレジットカードと使い分けられている傾向にあります。なぜでしょうか。クレジットカードは軽く、盗まれても連絡して止めることができるという便利なものですが、決済するときにサインをし、カード会社に信用を確認する時間がかかります。このわずらわしさは額にかかわらず一定なので、少ない額のときには現金で支払う傾向が強くなるのが一つの理由です。
電子マネーの長所と短所
ここ数年、新しい決済手段として電子マネーが登場しました。電子マネーの長所は、おつりのやり取りがなく、サインをする必要もないので、時間が短縮できることです。このため、まず買い物の時間を短縮したい人が、現金の代わりに電子マネーを使うようになりました。さらに、最近の電子マネーは、最小限の個人情報を登録すれば、カードをなくしても残高が保障されるようになりました。今では、クレジットカードの領域も徐々に奪いつつあります。一方で、短所は使える店が少ないことでした。これはカードリーダのレンタル料とスペースが問題でしたが、今は一つの機械で決済できるようになったので、使える店舗が増えつつあります。
電子マネーが及ぼす影響とは
電子マネーが普及している現象と大きく関係していると考えられているのが、ここ数年の小額貨幣の流通量の減少傾向です。受け取り手のない貨幣は、いずれは政府が買い取らなくてはならないことになっています。これは国にとっては想定外の支出なので、電子マネーがますます普及すると、小額貨幣は今までのような規模では発行されなくなるかもしれません。歴史を振り返ってみても、新しい決済手段は、そう度々は生まれません。ですから、電子マネーが流通を始めている今という時代は、それがどのように普及するかをリアルタイムで研究できる、滅多にないチャンスなのです。
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先生情報 / 大学情報
成城大学 経済学部 経済学科 教授 中田 真佐男 先生
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