なぜ税金を払わなければならないのか?
税金を払うのは当たり前?
税金を納めることは日本国憲法において国民の義務と定められ、日本では当たり前のこととして受け入れられる傾向があります。ほとんどの人が「税金の負担は重い」と考えつつも、払うこと自体に対しては特に疑問なく納得しているというのが現状です。しかし、個人が持っているお金を国や地方自治体に払うこと、そして払わなければ罰せられるというのは、それほど当たり前なことなのでしょうか?
「納める」のか「支払う」のか
日本語では、税を「納める」と言いますが、これは下のものが上のものに差し出すといった意味合いがあります。江戸時代の、農民たちがお上に年貢を「納める」という考え方をいまも引き継いでいることの表れです。一方英語では、税に対して「pay(支払う)」という語を使います。つまり、税金は国が自分たちを守ってくれる対価として払っているという意識があります。この違いは、日本人の多くが、消費税が上がることに不満があろうとも暴動などは決して起こさないのに対して、アメリカやイギリスでは税金を上げることに納得ができなければ時に暴動に発展するという違いにも関連しています。
納税は、義務でもあるが、権利でもある
日本では、自分がいくら税金を支払っているのか具体的な金額を知らない人がほとんどです。会社が個人にかわって税金を計算し、給与から差し引く形で支払い、しかも年末調整で納税額を確定するからです。この方が徴収しやすいので国にとっては好都合ですが、払っている額を知らないため税金の使われ方への国民の関心が低くなるといった点は問題だと言えるでしょう。これは、世界的に見ても特殊なシステムです。
納税は確かに義務ですが、同時に権利でもあります。人間が生まれてから死ぬまで、税金に関係しないことは何一つないと言えるほど生活に密着したものなので、「なぜ払うのか」「いくら払っているのか」、そして「どのように使われているのか」を知ることは、誰もが関心を持つ必要があることだと言えるでしょう。
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