面白くて役に立つ! 憲法は私たちの身近な法律
憲法を通して社会を見る
インターネットやメディアには、安全保障や誹謗中傷、フェイクニュースなどの社会問題について、さまざまな意見があふれています。憲法を学べば、それらの問題に対する、自分なりの考え方の「軸」が得られます。それは、独りよがりな視点ではなく、学問的・理論的にも一本筋が通っているとされる見方です。
たとえば日本社会には、同性婚についてさまざまな意見があります。憲法を通して見ると、そうした意見が単なる個人の感想なのか、法的・社会的に認められて議論に値する意見であるのかを見極められます。
歴史をひも解いてみると
同性婚は憲法に違反すると考える人もいるかもしれません。たしかに、日本国憲法24条には「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し」と書かれています。しかし、日本国憲法の制定過程をひも解いてみると、憲法24条は、戦前の家父長制度を解体し、結婚や家族に関する個人の自由な意思を尊重するために制定されたことが分かります。すなわち、戦前は、家父長(たいてい、家族で最も年上の男性です)の許可を得なければ、基本的に、結婚することができませんでした。これに対して日本国憲法24条は、結婚する者同士の意思さえあれば、自由に結婚ができると定めました。
このような歴史からすると、同性婚は憲法で許容されているという法解釈が、当然に導かれます。さらに、憲法24条の立法趣旨を推し進めると、現在の日本の法律が同性婚を認めていないのは違憲である、との解釈も十分ありえます。
憲法の知識が自分の身を守ってくれる
日常生活の中では、自分は法律や裁判などとは無関係だと思いがちですが、さまざまなきっかけで、法的トラブルに巻き込まれることがありえます。たとえば、冤罪(えんざい)に巻き込まれる、行政から問題のある処分を受ける、といった問題に直面した場合にも、憲法を学んでいれば、それが法的問題かどうかをすぐに判断し、しかるべき対応ができます。このように憲法の知識は、自分の身を守るためにも役立ちます。
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