モノのデザインの心理学
イノベーションは、技術革新だけじゃない
イノベーションとは、新しいモノ・コトを導入することにより、社会に新しい価値をもたらす革新のことです。
現代は技術が進んで豊かになり、さまざまな商品やサービスが人々の生活を大きく変えました。実際に世の中に普及するモノと、そうでないモノがあるのは、なぜでしょうか。ここで鍵となるのは、商品やサービスが、それを受容する人の特性を十分に考慮してつくられているかということです。
心理学的な視点から見たモノのデザイン
夏はどうして暑いのでしょうか、スマートフォンではなぜ情報のやり取りができるのでしょうか。私たちは、このような疑問に答えることができます。そして、初めてスマートフォンを手に入れたときに、おおよそどのように使うのかがわかるのは、スマートフォンの仕組みを、正確でなくとも、大ざっぱに想像しているからです。このように心のなかにあるモノの仕組みに関する知識のことをメンタルモデルと呼びます。人はメンタルモデルをもつことで、見たことのないモノでも、どのようなモノであるかをある程度想定して、使うことができるのです。
また、ある商品の種類は多い方がいいでしょうか、少ない方がいいでしょうか。人は、たくさんの商品の中から選ぶことを好みます。しかしあまりにも多い選択肢は、人の購買意欲を結果的に阻害してしまうことが知られています。なぜなら人間のもつ記憶システムは、一度に多くの情報を処理するのが苦手なためです。このように、私たちの身の回りの商品やサービスが、人に受け入れられるかどうかには、人間の認知の仕組みが関わっています。
人間中心のものづくりのために
昔は使う側の人間のことをあまり考えずにものづくりが行われていました。しかし、今では道具を使う人間のことを中心に考えるものづくりに変わってきています。そのような人間中心の設計をするためには、現実の場面で、商品やサービスを利用している人の行動を観察することが効果的です。
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先生情報 / 大学情報
成城大学 社会イノベーション学部 心理社会学科 教授 新垣 紀子 先生
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