1+1を3にも4にもする「グループ経営」
幅広い分野をカバーする系列会社を傘下に持つ企業
世界各国には、本社の傘下にいくつもの系列会社を持って「グループ経営」を行っている企業がたくさんあります。最も大規模なグループ経営を行っている例としては、発明家として知られるトーマス・エジソンが創業した、電気機器から金融業、軍事産業に至るまで、非常に幅広い分野をカバーする系列会社や事業部門を持つ、米国のゼネラル・エレクトリック社(GE)などがあります。
新しい事業に参入する時の判断の分かれ目
ある特定の技術やサービスのノウハウによって成功した会社が、それらを応用した事業に参入して、グループ経営における事業の多角化を図る例は、しばしば見られます。ただ、その会社の株主たちは、自分のポートフォリオ(株式や有価証券などの資産の組み合わせ)をつくる都合上、多角化が進むと困ることもあるので、反対する場合も少なくありません。企業が新しい事業に参入する際は、それによって「1+1が3にも4にもなるシナジー(相乗効果)が得られるか」「その参入によって本社がうまくポートフォリオを運用できるか」が、判断の分かれ目になります。
グループ経営で大切な3つの「力」
本社が数多くの事業を束ねて運用していくグループ経営では、次の3つの「力」が重要になります。まず、個々の事業を見極め、それ単体でもやっていけるかどうかを判断して経営資源を配分する「見極める力」。次に、新しく始めるべき事業、撤退すべき事業を整理し、各事業がシナジーを発揮できるように働きかける「連ねる力」。そして、強固なグループ理念を本社を中心に謳い上げてグループをまとめる「束ねる力」です。こうした「力」が発揮されるようにするためには、より戦略的で強い意思決定能力を持つ本社と、グループ内での話し合いの場を意識的につくるなどして、コミュニケーションを大切にするための一層の工夫が必要になるでしょう。
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