あの会社は「AAA」! 企業や国債に与えられる「格付け」って何?
企業に対する「格付け」とは何か?
経済関連のニュースで、ある企業の「格付け」が「AA」から「A」に下がった、などという情報をよく目にします。この格付けとは、「格付け会社」と呼ばれる会社が、国が発行する国債や、企業の発行する債券などの返済可能性を判断し、投資家が参考にできるように提供する情報のことです。格付けは、最高位の「AAA」から「AA」「A」……「B」などの記号によって表されます。格付け会社は20世紀初頭に登場し、当時から続くムーディーズのほか、スタンダード&プアーズなどの会社があります。
株価と格付けは逆の動きをすることもある
格付け会社が、ある企業の格付けを行う際は、大きく分けて2つのポイントをチェックします。まず、その企業が借金を返済すべき時期に必要なだけのお金を持っているかどうか。次に、返済時期までに必要なお金がなくても、それを補う資産があるかどうか。これらを見定めるためには、その企業の事業の将来性や周囲の環境などを詳しく分析する必要があります。こうした分析は格付け会社によって結果が異なる場合もあり、格付けの判断が分かれることもあります。また、企業の株価と格付けは同じ動きをするとは限りません。格付けの判断はあくまでも期日に借金が返せるような安定した経営が行われているかどうかという視点に基づきますから、急速な成長が見込めるとして株価が上がっても、そのために多額の借金が必要となれば格付けは下がってしまう場合もあるのです。
金融危機を引き起こさないようにする工夫が必要
2008年にリーマン・ショックという世界的な金融危機の原因となったのは、米国などでサブプライムローン(低所得者向けの住宅ローン)の証券化商品が、格付け会社から高評価を与えられていたにもかかわらず、実際にはローン支払いの延滞や債務不履行の問題が発覚したことでした。世界経済を円滑に動かす上で、格付け会社は不可欠な存在ですが、こうした問題を引き起こさないようにするための制度上の工夫もまた求められているのです。
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