子どもたちに迫る「眼」の恐怖とは?
超高齢社会での「眼」の健康管理
私たち人間は、外界からの情報の大半を、「眼」で見ることによって取り入れています。しかし、「眼」の健康管理のためのサポート体制は、日本ではまだまだ不十分です。例えば、日本では「眼」の健康管理を支える国家資格として「視能訓練士」という資格が1971年に誕生しましたが、視機能に関する検査や矯正訓練、リハビリなどにおいて重要な役割を担うこの国家資格を持つ人は、全国でも約1万人程度です。しかし今後の高齢化が進み、2030年には、視覚に障がいのある人が全国で200万人に達すると言われています。
子どもたちの「眼」の健康を守る
高齢者の「眼」の健康管理も大切ですが、その一方で、乳幼児や子どもの「眼」の健康管理もまた、重要な課題です。未熟児網膜症や先天白内障など、先天的な原因で「眼」に問題のある子どもに対するサポートは、視能訓練士を中心とした専門家による的確な診断と指導が不可欠になります。というのも、視機能に何か問題がある場合、大人は通常の状態と比べての自覚症状があるのでその問題を説明できますが、子どもはその症状を言葉でうまく説明できない場合が多いからです。
また、ゲーム機などの普及により、最近の子どもの「眼」には、大きな負担がかかりがちです。このような子どもたちの「眼」を取り巻く環境に対し、特に成長期の子どもに対して視機能の健康管理を適切に行っていくことも必要になっています。
「眼」の健康を支えるための体制作り
最近では、視機能に障がいのある人をサポートする視覚補助具として、iPadなどのタブレットで利用できるアプリが新たに開発されています。画面へのタッチや「音声読み上げ」などを取り入れることで、今まで困難だった情報の把握やコミュニケーションの円滑化が可能になりました。このような新しい技術やツールを取り入れつつ、今後はさらに充実した、「眼」の健康を支えていくための体制作りが求められています。
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新潟医療福祉大学 医療技術学部 視機能科学科 教授 石井 雅子 先生
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