看護学の専門性を生かした養護教諭の大切な役割
「看護の力」が発揮できる学校保健
養護教諭「保健室の先生」になるにはいくつか道があります。教育学系や体育学部などの学際系で学ぶ道と、看護学系で学ぶ道です。子どもと関わり、支援する学校保健は、看護の力を発揮できる現場のひとつです。ここでは、看護学の視点から養護教諭の役割について考えます。
子どもの背景にあるものに気づく
子どもが体の不調を訴えて保健室に来たとき、養護教諭にとって大切なのは、子どもの心身の状態を見極め、対応するとともに、子どもの生活や訴えの背景にあるものに思いを巡らせ、気づくことです。
例えば、1型糖尿病やぜんそくといった慢性疾患の子どもは、学校でも自分の体調を自己管理することが必要になってきます。1型糖尿病ではインスリン注射を行ったり、ぜんそくの発作が起きれば吸入薬を使ったりしますが、子どもはみんなと違うと思われることを気にしていたり、将来の不安をもっていたりします。そういった心の問題が不調の原因になっていることも多いのです。
学校・家庭・地域をつなぐコーディネーター
子どもを支援することは、子どもの家族を支援することにもつながります。慢性疾患の子どもの保護者は、学校での生活に大きな不安と心配を感じています。そんなとき養護教諭が保護者の思いを受けとめ、支えながら学校の橋渡し役になれば、両者が連携して子どもを見守ることができます。子どもが通院している地域の病院と養護教諭が関わりを持つことも、子どもの支援につながる大切なことです。
また、アレルギーのある子どもや慢性疾患など長期にわたり継続的な医療を受けながら学校生活を送る子どもの数も増加しています。養護教諭が医療専門職者と連携して、教職員にこうした医療的な知識を伝授することも必要です。教育の現場で重要な学校・家庭・地域の連携では、養護教諭が専門性を発揮することが求められています。養護教諭は幅広い視点で、子どもや家族を学校・地域とつなぐコーディネーター役なのです。
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先生情報 / 大学情報
高知県立大学 看護学部 看護学科 教授 池添 志乃 先生
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