スポーツ女子高校生に顕著! 行き過ぎた「痩せ願望」

スポーツ女子高校生に顕著! 行き過ぎた「痩せ願望」

女子高校生の痩せ願望の実態とは

ある高校の女子生徒(1、2年生、約420人)への2010年のアンケート調査では、実際の体格で最も多いのはBMI20と既に標準体重といわれる22を下回っているにもかかわらず多くの生徒の理想体重はBMI18.5未満とさらにやせたいと希望していました。つまり、痩せる必要がない体格なのに、「痩せたい」と思っている女子高校生が多いことがわかります。

子孫の健康も損なう恐れも

こうした女子高校生の痩せ願望は、拒食症や過食症などの摂食障がいにつながる恐れがあります。また、正しくないダイエットで食事量が足りないと栄養不足による病気が心配されます。例えば、20歳以下でカルシウムが不足すると、将来、骨がもろくなる骨粗鬆症(こつそしょうしょう)につながりやすいのです。
さらに、必要な栄養量を摂取していないお母さんから生まれる赤ちゃんは、低体重(出生時の体重が2,500g未満)の可能性が高くなります。お母さんのおなかの中で飢餓状態になり、栄養を必要以上に貯め込みやすい体質になるために生活習慣病にかかりやすくなるという研究報告があります。若い女性の痩せ願望は、本人だけでなく、子孫の健康も損なう危険があるのです。

スポーツ女子にも多い傾向

冒頭の調査では、女子高校生の痩せ願望は、体育系の部活をしている女子生徒に、より強く表れています。しっかり食べて筋肉をつけなければいけないのにもかかわらず、痩せたいという意識がみられます。そもそもスポーツで大切なのは「アウト・オブ・ピッチ」、つまりピッチ(フィールドやグランド)上の2時間の練習や試合だけでなく、ピッチの外の22時間をどう過ごすのかに目を向けるべきという考え方です。食事もここに含まれます。
なぜ、スポーツ女子も含めた女子高校生に痩せ願望が強いのか、それを正すためにはどうしたらよいのかは、スポーツ栄養にとっても、国の健康づくり対策にとっても重要な課題のひとつなのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

新潟医療福祉大学 健康科学部 健康栄養学科 教授 稲葉 洋美 先生

新潟医療福祉大学 健康科学部 健康栄養学科 教授 稲葉 洋美 先生

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スポーツ栄養学、栄養学

先生が目指すSDGs

メッセージ

私は高校1、2年生のときには、将来の職業や大学について、全く考えていませんでした。部活のバスケットボールに打ち込んでいたのです。でも、その日々の中で自分自身が困ったこと、私の場合は「食事」にポイントを絞って、将来を考えました。
あなたも、今の生活の中で興味があること、困っていること、助けてあげたいことを見つけて、そこから進路を考えてみてもいいのではないかと思います。現在は「スポーツ栄養」と「高校生の痩(や)せ願望」を調査・研究しています。興味がある人はぜひ新潟医療福祉大学に来てください。

先生への質問

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6学部15学科すべての学科で国家資格をはじめとした専門資格の取得に対応したカリキュラムを配置しています。また、看護・医療・リハビリ・栄養・スポーツ・福祉の総合大学である利点を生かし、他学科の学生がチームを形成して学ぶ「連携教育」を導入し、関連職種への理解やコミュニケーション技法を身につけることで実践的な「チーム医療」を学びます。さらに、【スポーツ×リハビリ】【看護×福祉】など、学科コラボによる学びで、幅広い知識を修得します。